「ちっちゃい変なやつがごちゃごちゃ言ってる」ウエストランド井口、快進撃の理由は圧倒的な「雑魚キャラ」感
ナメられる才能
相手が先輩でも後輩でも、何らかのポイントを見つけてイジったり、毒づいたりして笑いを生むのはお手のもの。東野幸治などからイジられる側に回れば見事に受け身を取り、ひな壇では自分に順番が回るまでガヤを飛ばし続ける。ここまでガツガツしていて中身も伴っている芸人は珍しい。
ただ、そこまで優秀な芸人でありながら、井口には「できる人」特有のオーラが全くない。芸人から尊敬されたり、憧れられたりするということがない。「好きな芸人」「面白い芸人」などのアンケート調査で上位にランクインすることもほとんどない。
それどころか、お笑い界でも世間でも、どこかナメられていて、不当に低く見られている。「M-1」優勝という実績を残しているにもかかわらず、チャンピオンとしての風格を感じさせるところが一切ない。相変わらず圧倒的な「雑魚キャラ」感を残しているのだ。
井口がそう思われている理由は、その見た目と芸風にある。背が低くて歯並びも悪い上に、やたらと他人に噛みつき、嫌なことを言う毒舌芸を売りにしている。誰がどう見ても「ちっちゃい変なやつがごちゃごちゃ言ってる」という感じになるので、尊敬や憧れや好意の対象になることがない。
類まれなるお笑いセンスの持ち主である井口の本当の強みは、圧倒的な「ナメられ力」にある。常に人より下の立場に潜り込み、上に石を投げるようにして毒を吐く。このナメられる才能がある限り、彼への仕事のオファーが絶えることはないだろう。