脅されて不倫を続けた挙句、800万円を支払うハメに… 転落した41歳男性の “最後の希望”は

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「地獄のような時間」

 鞠絵さんは部署を異動して仕事を続けたが、結婚して数ヶ月後には妊娠がわかった。子どもができることには恐怖感もあったが、「家庭に恵まれていなかった自分が、どういう家庭を作れるのか。これは大きなチャレンジだから心機一転、がんばってみよう」と覚悟を決めたという。

「僕自身、社内で別の仕事に取り組みたい気持ちが強くなったので、これまでとはいろいろ担当を変えてもらったんです。玖美の夫との仕事も交替しました。これまでのことに感謝してくれたのか、玖美の夫が『妻と3人で食事でもしませんか』と言いだした。これには困ったけど、玖美は絶対に来てよね、と。地獄のような時間でしたよ。玖美ははしゃいでいるし、夫はもともと物静かな人で仕事のことばかり話しているし。帰りがけにチラッと僕の顔を見た夫の目が、すべて見透かしているように感じられてビビりました」

 やはり別れよう。いくら肉体的に惹かれていても、このままでいいはずがないと修汰さんは思った。玖美さんを呼び出し、「お互いに家庭を大事にしよう」と言い渡した。

「私がこのまま引き下がると思う? と玖美はニヤリと笑いました。『もともと私はあなたにあっさり捨てられた。どれだけ傷つき、どれだけ立ち直るのが大変だったかわかってないんでしょ』と。お互いに若かったし、僕はお金もなかった。仕事だけで精一杯だった。きみはそんな僕を思いやってくれたのかと反論すると、玖美はしばらく考え込んだあげく、『手切れ金ちょうだい』と言いだしたんです」

 300万でいいわ。そんな大金をさらっとくれというのは、きみがもともと金持ちだからだ、今だって金に苦労しているわけじゃないんだろ、そもそもこういう関係を金で終わらせようとするなんてと彼は言いつのった。

「だから別れる必要なんてないでしょうと玖美は僕の顔を両手で挟んでキスしてくる。ホテルのティールームですよ。彼女、そういう大胆なことをして困らせるのが好きなんだと思う」

呼び出された部屋に行くと…

 彼は数日間考えたあげく、玖美さんに300万払うと連絡した。玖美さんは「わかった」と言って、あるシティホテルを指定した。ロビーに着くと、彼女から部屋番号が知らされてきた。

「部屋に行ったら、玖美がドアを開けてくれた。中に入ると、玖美の夫もいたんです。腰が抜けそうになりました。玖美は『バレちゃったの。責任とって』と涙を流している。玖美の夫は『困りますよね、この状態』って。『うちは子どももいないし離婚するから、あなた、責任とってもらえます?』と。いや、僕は離婚しませんと言ったら、会社に言うしかないのかなあと夫。これって出来レースというか、美人局なんじゃないか、あなたもグルなんでしょと言ったら、夫は僕に顔を近づけて『間男が何を言ってんだよ』と凄んできた。堅気じゃないのかと思うような迫力でした。本気で怒っているのか、玖美とグルなのかが見抜けない」

 あたふたしていると、「私からも慰謝料請求しますから。裁判起こしてもいいんですけど」と言い始めた。結局、玖美さんへの手切れ金と夫への慰謝料で500万寄越せと先方は言いつのった。いくら不倫でも今どき、そんな大金を要求されるのは理不尽だと反論すると、じゃあ裁判にすると言われ、話し合いはまとまらない。お腹の大きい妻に知られるのだけは避けたかった。

「会社には借金を完済していたので、また借りればなんとかなるかとも思ったんですが、あまりにもかっこ悪いし、どう考えても500万は多すぎる」

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