奨学金が原因で「6年交際」した彼女と破局… ようやく叶った“復縁”は想定外の形だった

  • ブックマーク

母の真意を知って涙

 自分が玖美さんの不倫相手になったことに、彼はショックを受けていた。そしてなぜか物置のような部屋で暮らす母親の姿が目に浮かんだ。

 その夜、母親はその物置のような部屋でひとり息を引き取ったことを、彼は翌朝、知ったという。

「半年ほどまえに軽い脳梗塞を患ったことは知っていました。見舞いにも行きました。でもその後、ろくなリハビリもせず退院して、またあの物置で暮らし始めて。結局、再度、脳梗塞を起こしてひとり亡くなったそうです。おふくろは、僕にはたいしたことないし、元気にやってるからとしか言わなかった。伯父夫婦を責めましたが、伯父は『うちだって妻が病気で大変だったんだ』って。おふくろの数少ない洋服が入っている引き出しを見たら、奥のほうに僕宛ての手紙がありました。通帳と印鑑も入っていた。おふくろは僕が学生時代から送っていたお金を、ほとんど使わずに貯めていたんです。『自分の思うように生きなさい』と手紙に書いてありました」

 修汰さんの目が潤んでいた。

 ***

【後編】では、玖美さんとの“復縁”が引き起こした悲劇を紹介する。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。