「古巣に恩返し」「地元愛で電撃復帰」…なぜスポーツメディアは「浪花節」報道が大好きなのか?

スポーツ

  • ブックマーク

12年前の話

 10月8日、スポニチアネックスに「オリックス メッツ傘下3A藤浪の獲得調査 大阪桐蔭時代の『相棒』森とのコンビ復活あるか」という記事が登場。決してメジャーで活躍したとはいえない藤浪晋太郎選手の獲得をオリックスが検討している、という内容だ。締めはこうなっている。

〈オリックスには、春夏の甲子園大会を連覇した大阪桐蔭時代にバッテリーを組んだ1学年下の森が在籍。コンビ復活が実現するか、今後の動向に注目が集まる〉

 どうも日本のプロ野球、というかスポーツメディアの野球報道はあまりにも浪花節っぽいのである。高校時代2年間一緒にバッテリーを組んだ森友哉相手に投球をすれば、藤浪の荒れ球と暴投癖が改善し、イップスが治って阪神入団以来3年間のような輝きを取り戻せるとでも思っているのか?

 もちろん巨人の菅野智之と小林誠司、阪神の村上頌樹と坂本誠志郎のように、相性の良いバッテリーは存在するもの。だが、当時の大阪桐蔭高校はとにかく藤浪の実力が高校球児離れしており、森も含めた打撃陣が凄まじすぎたから春夏連覇を果たせたのである。しかも、二人が組んでいたのは12年も前の話だ。

人間関係と温情

 今回のように主たるスポーツメディアは「人間関係と温情」を大切する傾向がある。「阪神糸原&高山、星野さん追悼試合で明大魂見せた」(日刊スポーツ・2018年3月11日)などはその典型例だろう。明治大学出身の星野仙一監督の追悼試合で大学の後輩が活躍をしたことを「明大魂」と表現する。他にもこのようなものが過去にあった。

「複数年契約で誠意を見せ、FA流出を阻止する」というのは典型的で、実際には「球団はシーズン中から残留要請を続けてきたが、この日は3~4年の複数年契約を提示して誠意を示したもようだ」(日刊スポーツ2017年10月26日・FA権を取得した阪神の大和について)がある。あとはこの手のものがある。

・かつての恩師・野村監督の“再生工場”の下で剛腕は復活するか?
・原監督はWBCで信頼を寄せた“弟子”中島宏之の獲得に乗り出す。中島は入団の理由を「原監督の言葉、それだけです」と述べた。
・パドレスに入団した松井裕樹にすれば、師匠ダルビッシュの存在は心強い限り
・〇〇選手がFA宣言すれば、やはり地元・横浜のベイスターズへの思いが強いはずだ
・一旦トレードで外に出たがやはりジャイアンツ愛に変わりはなかった! 〇〇選手がジャイアンツに電撃復帰!
・FAでは、××選手と同郷の△△監督も出馬し、万全の態勢で獲得を目指す

次ページ:シビれるセリフ

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。