「もう一人の杉原千畝」 究極の利他を実践、6万人もの日本人を救った「義士」がいた #戦争の記憶
ナチス・ドイツなどから迫害を受けたユダヤ人難民に「命のビザ」を発給し続けた外交官・杉原千畝(ちうね)。約6000人の命を救ったことから、「東洋のシンドラー」とも呼ばれる。同じ頃、日本の敗戦直後に杉原の「10倍」、およそ6万人もの日本人難民の救出に尽力した男がいたことをご存じだろうか。
敗戦まもない北朝鮮で「引き揚げの神様」とまで呼ばれたその人の名は、松村義士男(ぎしお)。金も権力も持たない一介の市民であり、戦前には労働運動へ身を投じたことで国家から弾圧されたアウトサイダーだった――。...