高田馬場に子連れの下見ツアー客が… 押し寄せる「中国人留学生」のリアル
留学経験者に聞くと…
東京都内の美大をめざしているCさん(20)は、そんな留学志向のひとりだ。現在、大学入試を受けるための日本語学校に通っている。
「中国の美大は高考(大学入学共通テスト)の点数の要求も高く、倍率もものすごい。欧米への留学も考えましたが、学費年間約6万ドル(約853万円)もする。日本は私立の美大で200万円ぐらいで、安いんです。それに欧米は、在学中にスキルや人脈を培っても、卒業後に居続けるビザを取るのが難しいと聞きました」
日本で予備校に通い、今年の4月に日本の大学へ進学したYさん(20)は、ずっと日本に憧れていたという。もっとも、「巻」などの背景はあまり関係ないといい、日本のアニメが好きだったことが留学の決め手になった。中国の地方都市に住む両親は「国内の大学に通えば」と大反対したそうで、「親の説得がいちばん大変だった」という。
「日本のアニメはほとんど高校生が主人公ですよね。『スラムダンク』も、『名探偵コナン』も。それに憧れました。そういう人は多いと思う。日本は、“日本の高校生活の楽しさ”を宣伝するのがうまいと思う」
ただ、卒業後も日本に住み続けるかはわからないという。
「来るまでは、日本に対してポジティブな憧れしかありませんでした。ですが、実際に暮らすには空気を読む力、慎ましさ、日本人同士の独特な距離感を理解する必要がある。難しいかなと感じています。でも、今は大学で専攻した分野を勉強するのがとにかく楽しい。今しか得られないことなので、来てよかったと思っています」
Zさん(23)も、日本に高校留学をしたが、卒業後はアメリカの大学に進学することを選んだ。スタイリストを目指しているという。
「みんな同じようなスーツで面接に行く就職活動の様子を見て、この分野を日本で学ぶのは難しいと思った。夏休みに久々に日本に遊びに行ったのですが、街行く人たちの服装を見て、日本は生きづらそうだなと改めて思いました」
インターナショナルスクールから欧米へ
実際、上海で話を訊くと、留学先の候補は世界に広がっていることがわかる。
40代の会社員Nさんの息子は、今年の6月に市内で中考(高校受験)に挑んだ。
「中考分流は息子にはすごいプレッシャーです。ただ失敗しても、中専(高等専門学校)から大専(短期大学)へ、という道もある。国内には国際学校(インターナショナルスクール)の高等部もある。その後、欧米留学へというコースです。国際学校の説明会に行ったのですが、数学と英語の入試のみで合否が決まるとのことで、のびのび育てたい派としては魅力的です。学費は高いですが……」
イギリスへの留学経験がある40歳の会社員Fさんはいう。
「私の世代でも小学校から英語の授業があって、中学、高校と大量の課題をこなした。だから、留学先に英語圏を選ぶのは普通だと思う。そのまま専門分野を学べるから。日本だと、専攻したい学科に入る前にゼロから日本語を学ばなければならない」
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