“手製の水パイプ”で子どもが大麻を吸引…タイを「ほほえみの国」から「ドラッグの国」に変貌させた「大麻合法化」の知られざる現実

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第1回【合法化が進むアメリカで「大麻の密輸・密売」が激増しているのはナゼか…元マトリ部長が説く“大麻合法化”の不都合すぎる真実】からの続き

 いま世界各国で“大麻”への対応が喫緊の課題となっている。アメリカでは38州と首都ワシントンで医療用大麻が合法化された。そうしたなか、次期大統領選に出馬予定のトランプ氏は8月31日、自身が居住するフロリダ州で、成人(21歳以上)による嗜好(娯楽)用大麻の所持を容認(3オンスまで)する考えを表明。日本でもこの件を報じたニュースに関心が集まった。一方、記事に寄せられたコメントから、元厚生労働省麻薬取締部部長の瀬戸晴海氏は世論の小さな変化を感じ取ったという。(全2回の第2回)

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 トランプ前大統領の「大麻合法化」発言を報じた記事には、様々なコメントが書きこまれたていた。興味深いのは、これまでのように大麻の解禁を声高に叫ぶ意見だけでなく、かなり冷静な見方が増えたように感じられることだ。これは私見だが、大麻に関する議論が広がりを見せ、合法化を望む急進派だけでなく、より一般の人々が声を上げるようになったのではないか。また、実際に合法化された国や地域の“現実”が、少しずつ見えてきたことも影響しているかもしれない。

 その意味で、先の記事に付けられた以下のコメントにはぜひ目を通してもらいたい。

〈解禁したタイの大麻事情を見れば、大麻は禁止薬物のままが良いと思い知らされる。バンコクの大麻販売している露店はタバコ屋より多い、夜になれば大麻吸って暴れている輩が毎日警察の世話になっている。また、大麻の葉をかたどったネオンや看板が街に溢れていて、民度を疑われる程度になっている。自制できなく依存性の高いものが法律で禁止されており、秩序や幸せな暮らしを守る政府の役目は果たされるべき〉

 ここで述べられている内容は私の認識と一致する部分が多い。日本に住んでる読者には想像しづらいかもしれないが、タイのみならず、アメリカなど大麻を合法化した欧米の一部都市でも、実際に同様の“大麻公害”が発生しているのだ。それこそ、海外では街中に大麻の臭いが充満していることも珍しい話ではない。合法化したとはいえ、多くの都市では公園をはじめとする公共スペースでの大麻使用は厳しく規制されている。にもかかわらず、ひとたび合法化に舵を切れば、街中のそこかしこでジョイント(大麻タバコ)を吸う人々が姿を現すのだ。

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