81歳現役女医が75歳で筋トレを始めた理由 毎日食べる「野菜スープ」作りのコツも解説

ドクター新潮 ライフ

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朝晩15分ずつの入浴

 以来、私は病院での診療にも、鹿児島大学大学院循環器・呼吸器・代謝内科学の元教授である鄭忠和(ていちゅうわ)先生が開発した「和温療法」を取り入れています。海外でも「WAON therapy」として広く認知されているエビデンスに基づいた治療法で、個室の乾式サウナに入るなどするのですが、肝(きも)は深部体温を0.5~1度上げる点にあります。

 和温療法そのものは、実施している病院に行って受けるしかありませんが、要は体をしっかりと温めて血流を良くすることがポイントですから、家庭でもその要素を取り入れることはできます。つまりは「温活」です。平熱を1度上げられれば、免疫力は最大5~6倍になり、基礎代謝は10~13%アップするといわれています。

 大切なのは、一気にではなく、中程度の温度でじんわりと体を温め、心地よく発汗して血流を改善させることです。そこで私は1日朝晩2回、必ず約15分湯船に漬かるようにしています。それに加えて、寝起きにコップ1杯の白湯を飲むのも欠かしません。内臓が温められ、やはり血流が促されて手足の冷えなどに効果があります。

一切の調味料を使わない「野菜スープ」

 筋トレに温活。そしてもうひとつ、私の健康の柱となっているのが野菜スープです。

 75歳の誕生日に受けた健診で大きな問題は見つからなかったと先ほど説明しましたが、血圧が少し高めで、糖尿病の値も正常値を超えているなど、若干の変化は見受けられました。抵抗力が落ちたせいか、虫垂炎にもかかってしまった。

 絶好調の60代を経て70代も半ばになると、やはり年相応の衰えが出てきたのです。激やせ改善のための筋トレ、そしてかねて取り組んできた温活以外にも何か手を打たないと、いつまで現役医師を続けていられるか分からない。体質を改善しなければ……。

 そこで私が取り入れたのが野菜スープでした。参考にしたのは、抗がん剤研究の世界的権威で、ノーベル賞候補と目された熊本大学の前田浩名誉教授の本です。がんには活性酸素が密接に関わっていて、そして野菜に含まれるファイトケミカルには抗酸化作用があるのですが、生よりスープにしたほうがその効果は高まることが認められたと、前田先生の本には書かれていました。

「これだ!」と思った私は、その日から毎日、自炊の野菜スープを取るようにしました。効果は確実に表れて、しばらくすると血圧は見事に正常値に戻ったのです。

 作り方は難しくありません。タマネギ、ニンジン、キャベツ、ブロッコリー、セロリ、トマト、アスパラガス……。さまざまな野菜の中から5、6種類を選んで水と一緒に鍋に入れ、30分ほど弱火でコトコトと煮るだけです。一度にたくさん作って冷蔵庫で保存し、2~3日で飲み切るようにしています。ポイントは、塩を含めて一切の調味料を使わないこと。野菜が本来持つ甘みとうまみだけを味わうのです。

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