「某兄弟子に六代目を奪われ絶望の淵に…」 “自虐”で笑いを誘った「三遊亭王楽」ついに夢かなう

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 落語ファンでなくとも知る人は多い名跡「三遊亭円楽」が来年2月に復活する。七代目を襲名するのは三遊亭王楽(46)に決まった。

「襲名を狙っている」と笑いのネタに

「王楽は演芸番組『笑点』でもおなじみの三遊亭好楽(78)の長男で、五代目圓楽が27番目に迎えた最後の弟子です」

 とは演芸担当記者。

「平成20年には『NHK新人演芸大賞』の落語部門で大賞を受賞。実力もさりながら、イケメン落語家としても注目を集め、翌21年には真打に昇進しています」

 現在いわゆる“2世落語家”には、初代林家三平(故人)が実父の林家正蔵(61)と二代目三平(53)、林家木久扇(86)を父に持つ二代目林家木久蔵(49)らがいる。息子は父のもとに弟子入りするケースが一般的だが、

「王楽は五代目圓楽に憧れて、駒澤大学を卒業した平成13年に先代のもとに入門したそうです。結果、父親とは兄弟弟子という、落語界でも珍しい親子関係になりました」

 師匠だった五代目は、昭和41年の放送開始時からの「笑点」メンバーで、昭和58年から23年にわたって司会を務めた。後を襲った六代目は、2年前に死去。「笑点」では腹黒キャラとして知られ、6年前に死去した桂歌丸との掛け合いは多くの視聴者から人気を博した。

「五代目は亡くなる2年前に現役を退いていた。そこで王楽は宙に浮いていた六代目の“襲名を狙っている”と、笑いのネタにすることも少なくなかった」

 実際には、五代目が亡くなる前、楽太郎(当時)に「六代目円楽を襲名させる」との意向を伝えていた。

「王楽は平成21年10月の真打昇進に伴い、『笑点』の真打口上披露で“私には夢がありました。六代目圓楽襲名と同時に真打昇進という。しかし、某兄弟子に奪われ、絶望の淵に立たされております”と、自虐的に会場の笑いを誘ったこともあった」

決定打は“六代目の遺言”

 今回の王楽による七代目の襲名は、五代目円楽一門会の総意で決定したという。

 事情を知る関係者が言う。

「ところが、昨秋の六代目円楽追悼落語会で、好楽は六代目の一番弟子である楽生(47)の名前を挙げて“一番、この人がふさわしい”と持ち上げていた。その上で“今度の(一門会の総会がある)正月にそういう話が出ると思います”との見方を示していたのです」

 もっとも、周囲は親心からの“観測気球”と見なしていたそうで、

「好楽はあえて楽生の名前を挙げ、彼の評価をうかがった。楽生は堅実な落語家ですが、一方で華がないのも事実。結果的にその名を推す声は少なく、早々に襲名レースから脱落しました」

 昨年末、六代目の夫人から「七代目は王楽に」との六代目の遺言が伝えられていたことが決定打となった。

「一門会の将来を担う中堅の一人。五代目の最後の弟子で、六代目の弟弟子でもある。そんな“血筋”からも、彼が七代目を継ぐことは自然の流れでした」

 晴れて七代目襲名が決まり、王楽の「笑点」メンバー入りは確実になったとも。

「好楽は同世代の三遊亭小遊三(77)とともに勇退の時期を模索しています。好楽が勇退すれば、王楽は後継の最有力候補になる。過去にメンバーが交代する際にも名前が取り沙汰されたほどの人気者で六代目の命日に当たる9月30日に開かれた会見では、本人が“親子で並ぶという野望はあります”と本音をチラリ。そもそも『円楽』という名跡は五代目、六代目と二代続けて『笑点』を支えた番組の金看板ですしね」

 その王楽は会見では「大変な重圧ですが精進して参ります」と神妙に頭を下げた。5日間に及ぶ東京での襲名披露興行は、2月26日に開幕する。

週刊新潮 2024年10月10日号掲載

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