「男」で紅白初出場から35周年へ 「久宝留理子」紆余曲折の歌手人生とライブの裏側

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 1993年3月のデビューから苦節3年半を経て、ついにシングル「男」で、ヒット曲を世に出した久宝留理子(55)。CM曲として多くの人の耳に届き、9月下旬という発売時期にもかかわらず、その年のNHK紅白歌合戦への出場も決まった。その後もライブを続けてきたことが、今を生きる糧になっているという。

(全2回の第2回)

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「愛してると言ってるでしょ」 女性からの主張

 ヒット曲に恵まれず、デビューからの3年半は、実質的に無名だった。だがあれよあれよという間に「男」とともにその存在が世に広まり、生活は一変した。発売直後からラジオ、テレビへの出演も急増し、収録を終えて自宅に戻ると夜中。その時間帯にスポットCMの多かった「カメリアダイヤモンド」の映像にのせて流れる自身の歌を耳にするのが日常となった。

「夜中にかかる曲にしてはけっこううるさいな、と思いましたね(笑)。でもインパクトがあったんでしょうね」

 女性が「愛してると言ってよ」という歌はこれまであったかもしれないけれど、女性自身が「愛してると言ってるでしょ」と主張する歌は意外となかったかもしれない――というのが久宝による分析だ。取材、そしてレコーディング、ライブまでこなす毎日に忙殺された。

「でもこれが夢にまで見た忙しさなんだろうな、と噛み締めながらの日々でしたね」

総額1億円を身に着けた紅白歌合戦初出場

 紅白歌合戦は、似たジャンルや同世代の歌手・ミュージシャンが集まる歌番組とは異なり、幼少期から見ていた歌手、父や母が好きだった歌手らも出演する大一番。盲腸のまま初ライブをこなした経験を持つ久宝ですら、緊張感は半端ではなかったという。任されたのはトップバッター。対戦相手はX JAPANだった。

「最初はコート姿だったんですが、途中で衣装を引っ張られ、舞台上で赤いドレスに早変わりをするという演出でした。そのときに身に着けていたのが、カメリアダイヤモンド(株式会社三貴)さんからお借りした総額1億円のネックレスやティアラなど。私にではなく、その宝石類に警備がついていました。まだ怖いもの知らず、若さだったんでしょうね」

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