違反が蔓延、監視のゆるみ、抜け穴も…「藤田菜七子」も掛かった“スマホの罠” 「競馬界は甘すぎる」と他の公営ギャンブル団体関係者は指摘

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控室でも

 選手はレース当日、調整ルームから競馬場入りすると、ジョッキールームと呼ばれる控室に入る。

「ここで食事をしたり、休息をしたりします。もちろん場内に係員はいますが、室内で監視まではしない。時折見回りに入るようですが、特に女性騎手の控室では、着替えも行われるため、おいそれとは入れないのです。それを良いことに、昨年にはここで若い騎手がスマホを使用していた例もありました。VTRを見ることを目的に調整ルームでスマホを返してもらい、そのまま戻さずに競馬場にまで持ち込んだと見られています。調整ルームの職員も返却チェックを怠ったということですね。JRAの職員は“想像も及ばなかったことだ”と弁明していましたが……」

 この事件を受け、昨年からは映像視聴のための自室内への持ち込みは禁止されたが、その網の目をくぐり抜けるように、今年に入ってからは、セキュリティーボックスにスマホケースのみを預けたり、スマホを2台持ち込んで1台のみ預けたりといった手法で職員の目を欺くという、悪質な偽装工作も行われている。

他の公営ギャンブルでは

 なぜ公営ギャンブルの世界では、スマホの厳しい管理が求められるのか。

「公正性の確保のためですから、使用についてのルールはいくら厳しくても厳し過ぎることはない」

 とは、公営ギャンブルに詳しいさるジャーナリストだ。

「他の公営ギャンブルではより厳格なところもあります。例えば競輪では、競輪場の施設に入る前に電源を切った上で、係員に預ける必要があります。使用や持ち込むことだけではなく、車に置き忘れたり、預け忘れたりするだけでも処分の対象になります。6年前、競輪場に来る際、スマホを駐車場の車に置き忘れた選手がいて、それだけで2カ月間の出場停止でした。昨年、競馬界のスマホに関する不祥事が表に出た際、競輪団体の関係者は“大らか過ぎる”“外部と通信が出来る状態にあったというのは考えられない”と言っていました」

 競艇でも同様、通信機器を預け忘れて、半年間の出場停止となった例がある。

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