トム・クルーズがまさかの提案…「ラスト サムライ」の雪辱を「SHOGUN 将軍」で晴らした真田広之

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米ハリウッドに拠点

 俳優の真田広之主演の配信ドラマ「SHOGUN 将軍」(全10話、ディズニープラス)が米国テレビ界のアカデミー賞とも呼ばれる「第76回エミー賞」で作品賞、主演男優賞、主演女優賞など主要部門をはじめとする史上最多18部門を制覇する快挙を成し遂げた。

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 日本人として初めて同賞の主演男優賞を受賞しプロデューサーも務めた真田には、スポットライトが集中し、米ABCの「グッドモーニングアメリカ」に出演して流暢な英語で喜びを披露。日本でもNHKの「クローズアップ現代」が同作を特集し、真田が同作にかけた情熱について明かした。落ち着いた佇まいで謙虚に語るその姿はまさに侍(サムライ)だったが、実は今回のエミー賞受賞は真田にとって大いなる“リベンジ”だったという。

 映画担当記者がこう話す。

「真田は90年代後半にロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに入団して『リア王』に出演するなど日英の架け橋になり、2013年公開の米映画『ラスト サムライ』(原題: The Last Samurai)の撮影のため米ハリウッドに拠点を移しました。同作の興行収入は日米ともにトップを記録する大ヒット作となり、ネイサン・オールグレン大尉役で主演したトム・クルーズ、侍を束ねる勝元盛次役の渡辺謙、同じく氏尾役の真田ら日本人キャストにも注目が集まりました。

 ただ、日本人キャストの中では、名優ユル・ブリンナーに似ている渡辺にスポットが当たりがちで、ゴールデングローブ賞助演男優賞、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされるほど。一方、壮絶かつ美しい殺陣を披露する真田を見たトム・クルーズが、エドワード・ズウィック監督ら制作サイドに真田の合戦シーンを減らして、自分が目立つよう提案したと言います。『ラスト サムライ』で真田は本格的に米進出を果たすわけですが、裏では悔しい気持ちがあったのではないでしょうか」

「ラスト サムライ」は明治新政府に対して西郷隆盛が蜂起した西南戦争(1877年)をモデルに製作。この際、流暢な英語を話す真田は、映画で描かれる武士の姿や作法について助言する役回りを務めた。しかし、一部には西南戦争に参戦した侍たちの装備に違和感があったり、主要キャストの侍たちが過度にロマンチストに描かれたりしているほか、トム・クルーズ演じる白人の軍人が、日本人の救世主のように描かれている、などと批評された。スーパーバイザーを務めた真田にとって、日本の描写の不徹底さには合点がいかなかったことだろう。

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