「裏金議員」杉田水脈氏が出馬断念…自民党山口県連が“どう考えても無理筋だった”杉田氏を公認申請した「本当の理由」
ブチギレた理由は「総裁選で林氏を応援しなかったから」
そこに立ち塞がったのが安倍昭恵さんであった。23年4月に行われた補欠選挙で安倍氏の後継として、下関市議だった、当時38歳の吉田真次氏を擁立。県連内では反発があったが、結局、昭恵さんに押し切られ吉田氏は補選に勝ってバッジをつけた。
その後、次期衆院選では新1区に高村氏、新2区に岸氏、新3区に林氏、吉田氏は比例に回ることで話がまとまったはずだった。
だが、10月7日の公認申請締め切り日、県連は選挙区では上記3人を公認申請したが、比例区については取り決めを反故にして吉田氏を差し置き杉田氏を公認申請したのである。
「理由は総裁選での吉田氏の”反旗”です。安倍さん亡き後、県内に残る有力者が林氏しかいなくなった県連では、総裁選で林氏を推すと決めた。しかし、吉田氏が小林鷹之前経済安全保障担当相の推薦人になった。上層部は“昭恵さんがいたおかげだけで議員になれた分際なのに、県連が決めたことに反旗を翻すとは何事だ”とブチギレ、もともと邪魔者だった吉田氏をいじめてやろうと考えた」(同)
そこで思いついた策が、
「申請の締切日までに吉田氏とちゃんと話し合いができず意思確認できなかったから、もう一人希望していた杉田氏を推挙する、という子供じみた戦略だった」(同)
県連が公認申請を発表した場では当然、地元記者から「なぜ吉田氏の名前が入っていないのか」と質問が飛び交ったが、友田有・県連幹事長は次のように惚け続けたという。
「先週末にも電話でお話しさせていただき、いろいろ打ち合わせをしないといけないと言ったのですが、いまだに県連には来ていない。だから今日は公認申請が出せない」(友田有・県連幹事長)
「くだらないいじめに杉田氏は利用された」
だが、吉田氏は全く違う話をしているという。
「実際は、吉田氏の方から何度も県連幹部に連絡を試みていたようです。幹部たちはわざと電話を取らず、申請フォーマットすら送らない嫌がらせをしていたとも聞いた」(前出・地元関係者)
結局、その後県連は吉田氏を追加申請したようだ。9日に発表された1次公認候補者の中に吉田氏は入ったが、杉田氏の名前は入らなかった。
そして党本部から公認を得られないと考えた杉田氏は、14日の第2次公認発表を待たずして自ら辞退を決めたのである。
「杉田氏の公認が得られないことは県連も最初からわかっていたはず。公認申請後の会見でも『3回目の時点で難しいのでは』と突っ込まれていましたが、『県連ではそういう規定はありません』『難しいかもしれないが、本人の希望もあってあげさせていただいた』などと要領を得ないことを答えていた。杉田氏は県連内のくだらないいじめに利用されていただけなのです」(同)
これが全国最多8人の総理を輩出した県の政情だというのだから、呆れるばかりである。