「裏金議員」の杉田水脈氏が出馬断念…自民党山口県蓮が“どう考えても無理筋だった”杉田氏を公認申請した「本当の理由」

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 自民党の比例単独候補として立候補を目指していた杉田水脈前衆院議員(57)が、10月10日、出馬を断念したと伝えられた。今回の騒動で不可解な動きを見せたのは自民党山口県連である。なぜ最初から公認が難しいと考えられていた杉田氏をあえて推挙したのか。地元関係者は「県連には別の意図があった。杉田氏はだしに使われただけ」と語る。

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本当の理由は「目の上のたんこぶを推したくなかったから」

 杉田氏は比例中国ブロック単独候補として2期当選してきた。自民党の内規では比例単独は原則「通算2回まで」と規定されており、そもそも公認される資格がなかった。

 さらに裏金議員でもある。不記載額も1564万円と小さくなく、党役職停止6カ月の処分を受けていた。そんな杉田氏を山口県連が党本部に比例中国ブロック候補として公認申請したことに「そこまで杉田氏は山口県内で人気があるのか」と疑問に思った人は多かったはずだ。

 だが、県政事情に詳しい関係者は「別に人気なんかありませんよ」と語る。

「彼女は安倍晋三元首相あっての人。選挙区を持っていませんし、後ろ盾がいなくなった今、県連内で彼女を積極的に支えている人なんかいません。むしろ、彼女が過激な言動をする度に県連上層部は“余計なことばかり言って”と眉を顰めていました」

 ではなぜ県連は無理筋だった杉田氏を公認申請したのか。

「昨年4月の衆院山口4区補欠選挙で初当選した吉田真次氏(40)を推したくなかったからです。県連にとってそのくらい吉田氏は目の上のたんこぶであり、杉田氏はダシに使われただけなのです」(同)

1年前の補選から吉田氏の出馬を嫌がっていた県連

 この話を理解するには時計の針を、安倍晋三元首相が凶弾に斃れた22年7月に巻き戻す必要がある。

「安倍氏が亡くなり、かつ安倍家から後継希望者が出なかったことで、結果的に山口政界は懸案が解決したと言われていました。次期衆院選から山口県では10増10減の区割り変更で、4つあった選挙区が3つに減ることが決まっていたからです」(同)

 当時の選挙区は下記のようになっていた。

1区:高村正大外務政務官(高村正彦・元法相の長男)
2区:岸信夫元防衛相
3区:林芳正官房長官
4区:安倍晋三元首相

 安倍氏が存命の頃は、林氏が新1区に回り、新2区に岸信夫氏の跡を継いだ岸信千世氏、新3区に安倍氏になると言われていた。1区の高村氏は当選2回とキャリアが浅く父親の影響力も弱いことなどから比例単独に弾き飛ばされる、もしくは、高村氏と信千世氏でコスタリカ方式(選挙毎に選挙区と比例区を入れ替える方法)を取るというシナリオが立てられていた。

 だが、安倍元首相を襲った悲劇により、期せずして残された3区に3人が収まる展開になったわけだ。

「この時、県連内では区割り変更で消える4区の補選にはワンポイントリリーフを立てるのがいいと考えていました。県議や市長などの長老に次の衆院選までの期間限定で選挙区を守ってもらえばいいと」(同)

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