ネット銀行は“アイデンティティ”崩壊の危機… 日銀利上げで「住宅ローン」顧客争奪戦が激化

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既に来月のライバル銀行の動きを巡り、探り合いが始まっている

 こうした適用金利を巡る探り合いで他行と一線を画し、見事に“出し抜いた”恰好となったのが三菱UFJ銀行だったというわけだ。

「三菱UFJ銀行の相談窓口に利用者が殺到しているようだ、という話が業界内で広まっています。特にネット銀行は気が気でないはずで、“来月にもauじぶん銀行が適用金利を下げてくるのでは”という噂も出回っています」(銀行関係者)

 メガバンクだけでなく、10月の適用金利を据え置いた銀行でも、問い合わせが急増していた。モゲチェックと共同で、期間限定の金利キャンペーンを実施中のSBI新生銀行もその1つ。

「先月と比較し、新規に住宅ローンを申し込まれたお客様の数が1.5倍ほど増えています。やはり、ユーザーの8~9割ほどは“金利”を第一条件に銀行を選ばれているという印象。そうしたお客様のニーズにいかに応えていけるかが、私たちに求められていることだと考えています」(SBI新生銀行の担当者)

 なるべく安い金利で融資を受けたいユーザーと、本音では金利を引き上げたいものの、継続的に新規ユーザーを獲得するためには、適用金利で勝負せざるを得ない銀行――。

 今後も0.01%単位の熾烈な金利競争の行方に目が離せない。

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 この記事の後編では引き続き、「みずほ銀行」の適用金利据え置きの“落とし穴”や、「住信SBIネット銀行」の基準金利引き上げ幅がユーザー間で異なる“怪現象”について。「借り換え」でメリットが生まれる金利のラインなど、「知らないと損する」住宅ローンの最新事情をお届けする。

デイリー新潮編集部

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