「球団から何も言ってこないんや…」 阪神「岡田監督」肉声が明かす退任のドロドロ 角会長は続投を希望、しかしタイガース側の“回答”は…

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 12日から始まるセ・リーグのクライマックスシリーズ。2位・阪神はDeNAを甲子園で迎え撃つが、その戦いの前、6日に阪神・岡田彰布監督の今季限りの退任が発表された。昨年は38年ぶりの日本一、今季も貯金は11、残り10試合を切るまで首位を争っての2位。2年契約の最終年とはいえ、契約を更新して続投してもまったく不思議ではない成績だ。なぜ岡田は退任するのか。本人の肉声と共に裏側に迫る。【吉見健明/スポーツジャーナリスト】

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 夏ごろから岡田の去就は注目を浴びていた。2年契約の最終年だが、成績は申し分ない。当然、続投も視野に入るが、岡田は後に述べるような自らの体調問題もあり、続投には後ろ向きだったという。

 しかし、そんな岡田の気持ちを変化させたのが、阪急阪神HDの角和夫会長。阪急出身の実力経営者で、現在は阪神タイガースをその一つに含む、阪急阪神グループのトップだ。実は岡田は8月、極秘に角会長と会い、続投を勧められた。岡田は「角さんに口説かれた」と親しい知人に語っている。

 そもそも、2年前の岡田の監督就任自体、角会長の「鶴の一声」があったからだ。フロントにも物言う岡田はその前の阪神監督在任時(2004~2008年)に球団とぶつかり、以来、疎まれる存在だったのは知られた話。その後、真弓明信、和田豊、金本知憲、矢野燿大と監督が続き、チームが低迷する度に後任候補として何度も名が挙がったが、球団側のアレルギーもあり、ことごとく潰されてきた。しかし、そこに登場したのが角会長。阪急阪神グループのCEOを務める角は、同じ早稲田の同窓ということもあり、岡田とは気脈を通じてきた。岡田の手腕を買い、監督にと熱望してきた。2022年シーズンをもっての退任が決まっていた矢野監督の後任として、球団が平田勝男2軍監督(現ヘッドコーチ)の昇格案を持ってきた際も、それを突っぱね、岡田をその座に据えたのだ。

あと1年やってもいい

 前述の角会長の強い勧めもあり、実はこの頃の岡田の気持ちは続投に傾いていた。「会長がそこまで言うのなら、あと1年やってもいいかな」。周囲にそう語っている。また、監督の後継問題もこの動きに関係していた。岡田は自身の後継にはやはり早稲田大学出身の鳥谷敬の就任を望んでいた。角会長も同様だった。

「後継者を育てることも会長から言われている」。岡田はそう語っている。

 監督就任以来、岡田は鳥谷にコーチ就任を要請してきたが、鳥谷は「もう少し外で過ごしたい」と拒み続けてきた。それでももう1年、自分が指揮を執ることになれば、鳥谷もコーチとして入り、将来へと繋げられる――岡田にはそんな青写真があったという。

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