「調子に乗りましたね」と創価学会関係者は苦笑い “落選危機”の公明党新代表が「最速の衆院選でもやれる」と豪語したワケ

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 延べ22年にわたって自民党と連立を組む公明党の“顔”が交代した。平成21年から代表を務めた山口那津男氏の後任は、幹事長だった石井啓一氏である。

茂木氏にも“強気発言”

 政治部デスクが解説する。

「公明党の代表交代は15年ぶり。石井氏は近く行われる総選挙の準備に余念がありませんが、早くも先行き不透明です」

 石井氏は自身が新代表に選出された9月28日の党大会後の記者会見で「一番早いケースでもやれる態勢を準備している」と豪語。次期衆院選が「10月15日公示、同27日投開票」という最速のスケジュールでも問題ないことを強調していた。

「慎重な石井氏にしては珍しい、大胆な発言という印象です。自身も比例区から小選挙区の出馬に変わるというのに、あそこまで踏み込んで大丈夫なのか」

 公明党関係者も首をひねる。

「10増10減された小選挙区で埼玉14区が区割り改定され、ウチは早々に3月の時点で石井さんの擁立を発表した。それに自民党埼玉県連が“事前の説明がない”と猛反発。最後は向こうが独自候補の擁立を断念して決着しましたが、いまも関係は険悪です」

 擁立発表の2カ月後、石井氏はこんな尖った発言も。

「石井さんは東京新28区の扱いを巡る自公の幹事長と選対委員長による協議の場で、茂木(敏充)幹事長=当時=に面と向かって“東京での自公の信頼関係は地に落ちた”と言い放った。その上で、公明党が同区への候補者擁立を断念する代わりに、都内での自民党への選挙協力を解消するとたんかを切ったのです」

 以来、自公の地方組織は全国でギクシャクしたまま。それだけに、石井氏が口にした28日の強気発言には創価学会関係者も「ちょっと調子に乗りましたね」と苦笑いを隠さない。

「石破(茂)さんが勝った自民党の総裁選は、ウチの党大会の前日に行われた。仮に保守系議員の筆頭である高市(早苗)さんが勝っていたら、公明嫌いを公言している麻生(太郎)さんや茂木さんらと何らかの形で“公明切り”に動く可能性もあった。学会幹部とのパイプを持つ菅(義偉)さんが主流派に戻ったので、ホッとしたんでしょう」

「公明票がなくても勝てる」

 先の政治部デスクが言う。

「現在10期目の石井氏は国交相などを歴任し、幹事長を4年間務めた。これまでは比例代表北関東ブロックからの出馬で安泰でしたが、今回は初めて小選挙区の洗礼を受ける。しかも、比例での重複立候補はしないと明言しています」

 退路を断った石井氏だが、与党内には「覚悟は空振りに終わる」との厳しい見方がくすぶる。先の自民党総裁選で、石井氏の地元・埼玉や東京、千葉、大阪など都市部の党員票が超の付くタカ派の高市氏に流れたからだ。

「結党時から“平和の党”を掲げて都市部を中心に勢力を広げて来た公明党にとって、都市住民の右傾化は懸念材料。学会員の高齢化も進み、令和4年の前回参院選は目標だった比例票800万に程遠い618万票にとどまった。いまも集票力の低下は止まりません」

 自民党関係者も指摘する。

「一強の中で当選してきた自民若手には“公明票がなくても勝てる”と豪語する議員が少なくありません」

“落選危機”がささやかれる新代表は、党勢の退潮を食い止めることができるのか。

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