「藤川阪神」のヘッドコーチ候補に宮本慎也氏(53)浮上も…“外様”以上に“大先輩への仁義”というハードル

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「慎也を欲しがる球団は少なくない」

 阪神では岡田彰布監督の今季限りでの退任が決まり、後任に元投手で球団のスペシャルアシスタント(SA)を務める藤川球児氏(44)の就任が確実視されている。現役時代に「火の玉」と称されたストレートを武器、に日米通算245セーブを挙げた元名クローザーである。引退後は評論家としても活動し、理論的で明快な解説でも将来の監督候補としての期待感を高めていた。

 一方で藤川氏は指導者経験がない。特に投手出身監督の宿命である、専門外の野手の統率力が成否を分けるとみられる。コーチ人事で鍵を握るのはヘッドコーチだ。今、関西球界ではかつて日本代表で藤川氏とともに戦った宮本慎也氏(53)が候補に取り沙汰されている。

 元NPB球団監督によると、岡田監督の退任が報じられたとき、藤川氏が新監督の有力候補に挙がったことは想定内だったという。その上で「一番大事なヘッドの人事が見えないですね。球児が現職のコーチなら周辺の人間関係から類推できるのですが……。チームを熟知している平田(勝男・ヘッドコーチ)や今岡(真訪・打撃コーチ)や和田(豊・2軍監督)も候補に入っているのでしょうか。鳥谷(敬・元阪神内野手)はなさそうですし……」と語った。

 そんな中で浮上してきたのが宮本氏だった。選手としてはヤクルト一筋にプレーし、遊撃と三塁でゴールデングラブ賞を実に10度受賞した名内野手で、打撃でも通算2133安打を放った。日本代表では2008年の北京五輪で星野仙一監督から主将に指名されている。大阪・PL学園高で形成された、厳格な野球への取り組みは賛否が分かれるほど強烈だった。

「監督は自分の代わりに厳しく選手を指導してもらいたいと思うものです。昔なら星野さんしかり、最近なら立浪(和義・中日監督)しかり。今、慎也をヘッドとして欲しがる球団は少なくないと思います」(元監督)

 宮本氏ならば藤川氏には困難な野手陣の統率を任せられる上、少し活躍しただけでスター扱いされる阪神で、“鬼軍曹”役を演じられる。「藤川阪神」のヘッドコーチとしては最適の人選に映るものの、阪神とは無縁だった野球人生で「外様」であることは障害にならないのだろうか。

阪神なら受けるのか

「阪神は巨人と違って監督人事でも野村(克也)さん、星野さんと外部の血を取り入れたことがあります。球児はNPBでは阪神一筋の選手でしたから、ナンバー2は生え抜きにこだわる必要はないでしょう。直近では矢野(燿大・前阪神監督)の時のヘッドは阪神に縁もゆかりもなかった井上(一樹・現中日2監督)でした。慎也が外様であることは全く問題ないでしょう」

 元監督はこう答えつつ「そんなことよりも……」と、21年オフに中日のヘッドコーチ就任要請を断っている立浪氏への「仁義」の方が気がかりなのだという。

「この時はヤクルトと同じセ・リーグの中日であることが大きな理由だったようです。(19年限りで)ヤクルトのヘッドを退任してまだ間もない時期に、また、いつか古巣に監督として戻るかもしれないなか、敵チームで参謀役に就くことに抵抗感があると言われれば、立浪も手を引くしかなかったしょう」

 しかし、阪神もヤクルトと同じセ・リーグの球団である。

「立浪氏の(依頼)は断り、藤川氏のなら受けるというのは辻褄が合わない。穿った見方をすれば、優勝の可能性が低かった中日ではなく、高い阪神ならやるのかということになります」(同元監督)

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