62歳夫が“還暦を過ぎて子供を認知”するまで 夫婦のすれちがいは次女の「しつけ」をめぐって始まった

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【前後編の前編/後編を読む】18歳年下の彼女とは「疑似父娘」のはずだった… たった1度の暴走が狂わせた62歳夫の家庭

 人は誰も過ちをおかすことがある。自分の預かり知らぬ間に、とんでもないできごとが起こっていたということもあるだろう。気づいたときに責任をとるしかない。だがそれが長年、共に暮らしてきたパートナーを傷つけることになるとしたら……。何が正解なのか、誰にも答えが出ないこともありそうだ。

 波野栄介さん(62歳・仮名=以下同)は、ある種の満足感と後悔の両方を抱えながら日々を過ごしている。自分がしたことが正解だったのかどうか判断できないままだ。

「今年の春、昔つきあっていた女性との間の子を認知したんです。子ども本人が僕を訪ねてきたので。もちろん、そのことは妻にも話しました。妻は一言『許せない』って」

 とても還暦を過ぎているとは思えない若々しい栄介さんは、50歳を越えてからフルマラソンに挑戦するなど、心身ともに健康を保っている。

結婚は向こうの「思うつぼ」で…

 栄介さんが結婚したのは28歳のとき。年上の由佳里さんが30歳の誕生日を迎える前日、婚姻届を提出した。どうしても20代のうちに結婚したいという彼女の気持ちを大事にしたからだ。

「同僚数人と飲みに行った居酒屋で、たまたま会ったのが由佳里なんです。同僚の学生時代の友人で、僕らの会社のあるビルの近くで働いていた。先方も数人で来ていたので、じゃあ一緒にということになって」

 栄介さんのほうは男性4人、先方は女性3人で来ていた。そのままテーブルをつけてにぎやかな飲み会となった。栄介さんの隣に座ったのが由佳里さんだった。

「当たり障りなく会社の話とか趣味の話とかしていたんですが、彼女の受け答えがとても感じがよかったんです。自分が受け入れてもらっている安心感がありました」

 連絡先を交換し、食事をしたり週末、一緒に遊びに行ったり。彼は彼女に会うと元気になる自分を感じていた。この彼女を手放してはいけない。そんな思いにかられていった。男の恋心が燃え上がったところで、由佳里さんは「30歳までに結婚したいなあ」とつぶやいた。

「よし、結婚しようと言ってしまったんですよ、そこで。彼女の思うつぼでした。つきあって半年ほどだったから、周りには『もうちょっとつきあったほうがいいんじゃないの?』と言われましたが、当時は彼女に夢中だった」

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