王者「日テレ」視聴率“大失速” ドラマもバラエティも勢いなく…ついに「テレ朝」に3冠王を禅譲か

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2010年代に圧倒的な強さ

 2010年代の個人視聴率争いで圧倒的な強さを誇った日本テレビが失速気味だ。今年度の第1四半期(4~6月)は全日帯(午前6~同午前0時)とプライム帯(午後7~同11時)の個人視聴率部門を落とした。このまま後退してしまうのか。弱くなった理由は何なのか。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】

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 日テレは2021年度まで9年度連続で個人視聴率3冠王。全日帯、プライム帯、ゴールデン帯(午後7~同10時)の個人視聴率のいずれもトップだった。

 2022年度は3冠こそ逃したが、全日帯とゴールデン帯の2冠を獲り、民放の視聴率争いで支配力を持ち続けた。ところが2023年度はテレビ朝日に全日帯とプライム帯の2冠を奪われてしまった。

 今年度の日テレは巻き返したいところ。だが、失速気味である。このままでは今年度の日テレは無冠になり、民放の勢力地図は塗り替えられる。

 主要4民放の4月クール(4月1日~6月30日)における平均個人視聴率は次の通り。左から全日帯、プライム帯、ゴールデン帯である。

日本テレビ 3.2% 4.7% 5.1%
テレビ朝日 3.4% 5.0% 5.0%
TBS     2.6% 4.0% 4.2%
フジテレビ 2.2% 3.3% 3.3%

 日テレは牙城のゴールデン帯こそトップだが、僅か0.1ポイント差なのである。

 次に2022年度、2023年度、2024年度の9月のプライム帯の個人視聴率を見てみたい。日テレの浮沈が浮き彫りになる。

2022年9月
日本テレビ 5.18%
テレビ朝日 5.16%
TBS     3.96%
フジテレビ 3.9%

 日テレは僅差ながらテレ朝を抑えてトップだった。この年4月、日テレは「上田と女が吠える夜」(水曜午後9時)をスタートさせた。同じく4月、「月曜から夜ふかし」(月曜午後10時)を深夜帯から格上げした。好調な深夜番組や特別番組を格上げするのは日テレが得意とする戦略だ。

2023年9月
日本テレビ 5.12%
テレビ朝日 4.77%
TBS     4.1%
フジテレビ 3.87%

 この年4月から日テレは朝の情報番組「ZIP!」(平日午前5時50分)を1時間拡大。午前8時までの放送とした。また、NHKからスカウトした武田真一アナ(57)たちをMCとする同「DayDay.」(平日午前9時)を始めた。

 朝の情報番組は全日帯の視聴率に直結する。また視聴習慣に結び付くから、日中から夜の番組の視聴率にも影響する。日テレは両番組の大勝を狙ったものの、思い通りにはなっていない。

 エンターテインメント情報と生活情報に力を入れた「ZIP!」はほぼ同じターゲットの「めざましテレビ」(フジ)、ニュースが厚い「グッド!モーニング」(テレ朝)に劣勢を強いられている。やはりエンタメ情報と生活情報が手厚い「DayDay.」も伸び悩んでいる。

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