「裏金議員に厳しいNG」石破サプライズが起こった決定的な理由

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もともとあった噂

 自民党派閥のいわゆる裏金問題で政治資金収支報告書に不記載があった衆院議員を次の総選挙で公認するか否かについて、一部の議員を公認しない方ことが明らかになった。さらに多くの「裏金議員」について公認はするものの、比例代表での重複立候補を認めない方針を示した。石破茂首相によって、ある程度のサプライズが演出された格好だが、その背景には何があったのか。

「もともと裏金議員は比例代表での重複立候補は認められないかもしれないとの噂が流れました。その後、ある程度の説明をすれば基本的には公認し、重複立候補も認めるという方針だとの報道が流れ、これに野党が噛みつき、“あり得ない”となりました。石破首相は総裁選で裏金問題について厳しく対処すると主張してきただけに、野党は首相を嘘つきだ、ブレたと批判していましたね。その流れでワイドショーを中心にメディアも石破批判の大合唱でした。もっともこの件について石破首相は方針を一度も公言はしてこなかったのですが」

 と、政治部デスク。

森山選挙管理内閣

 そもそも前段階としては、解散日程を巡る変節が批判されていた。石破氏が首相に指名される前から衆院解散日程に言及していた点について、「総裁選での言動とはまるで違っているので、変節だと批判されました」(同)とのことだった。

「石破氏は総裁になった時点で、幹事長に指名した森山裕氏と、その背後にいる自民党の元宿仁事務総長に超早期の解散総選挙をすすめられたと見られています。ひとまず選挙をパスしてから石破カラーを出せばいいじゃないか、と。森山選挙管理内閣だと言う口の悪い向きもいました。情勢調査的にもそこまで悪い数字ではないことから、石破氏はその方針に乗っかったのでしょう。が、とりわけ裏金議員の扱いについて世の中からの批判の声が大きかったため、方針転換を余儀なくされたということになると思います」(同)

 具体的には、「選挙における非公認」より厳しい党員資格停止の処分を受けている旧安倍派幹部だった下村博文元文科相、西村康稔元経産相に加え、高木毅元国対委員長、党の役職停止1年間の処分が継続中で、政治倫理審査会(政倫審)に出席していない萩生田光一元政調会長、平沢勝栄元復興相、三ツ林裕巳元内閣府副大臣ら10人以上が非公認となりそうだ。

自らの退陣と引き換えに

 このあたりまではある程度、想定されたものだったが、踏み込んだと評価されているのが、「裏金不記載は比例重複NG」の方針だ。

「処分の有無に関係なく、収支報告書に不記載があった衆院議員は小選挙区と比例代表との重複立候補を認めないとのことです。少なくとも30人、最終的に50人程度にもなる可能性があります」(同)

 そもそも裏金問題は前任の岸田前首相の時に発覚した「負の遺産」だ。

「岸田氏は在任中に自ら率先して政倫審に出席したり、派閥解消を訴えたりして信頼回復に腐心しましたが奏功せず、自らの退陣と引き換えに問題の幕引きを狙ったわけです。それが石破首相になってからも問題が炎上し続けていることについては各方面からも、“何でも反対の野党に引きずられている”“処分が済んでいるのにトップが変わったからまた蒸し返されるなら組織のガバナンスが問われる”などといった指摘もあります」(同)

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