真田広之が「何一つかなわない」と称賛した「日本一の斬られ役」 エミー賞18冠「SHOGUN 将軍」に受け継がれた“時代劇”の魂
ハリウッド進出のきっかけ
エミー賞18冠の「SHOGUN 将軍」への賛辞が止まない。主演だけでなくプロデューサーも務めた真田広之(63)は、戦国時代の実像を正しく描くため、日本から専門スタッフを呼び寄せるなど、細部までこだわりぬいた演出を徹底。それが海外でも高く評価されたのはご存じの通りである。
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真田のハリウッド進出の契機は、映画「ラストサムライ」(トム・クルーズ主演、2003年)への出演だった。明治維新から間もない1870年代、政府軍に西洋式の戦術を教えるために来日した南北戦争の英雄・オールグレン大尉(トム)は、近代化の波に乗り切れず、自らが信じる武士道が崩壊することを危惧している勝元盛次(渡辺謙=64)のもとで生活を共にする。勝元の部下で、外国文化を嫌う武士・氏尾を演じたのが真田だった。
日本を舞台に、最後のサムライとなった男たちを描く「ハリウッド製本格時代劇」は大きな注目を浴び、興行的にも大成功を収めた。真田は「これが最初で最後のハリウッド映画になってもいい」覚悟で、撮影中から日本への認識や表現の誤りを指摘し続け、撮影終了後の仕上げ作業にも関わったという。その後、05年に米国に拠点を移し、ハリウッド作品における「日本の描き方」を正す活動を続けることになる。
「真田さんは『ラストサムライ』撮影時に登場人物の所作や、殺陣などで意見を述べたそうです。しかし、スタッフはすべて米国人。さらに、トム・クルーズ主演ということで莫大な製作費が集まっていたため、すべてにおいてトムがメインだった。結果、真田さんの意見は向こうのスタッフに聞いてはもらえたのですが、あまり作品に反映されなかったといいます」(映画担当記者)
「ラストサムライ」に登場する女性は小雪(47)ぐらいで、男臭さが満載だったが、「SHOGUN 将軍」ではエミー賞で主演女優賞をとったアンナ・サワイ(32)に、二階堂ふみ(30)や女性キャストにも見せ場があった。それ以上に大きいのはセリフの7割が日本語だったことだろう。
「ラストサムライ」での経験があったからこそ、より精密な本格時代劇「SHOGUN 将軍」を生み出すことになったようだが、では、当時の製作舞台裏はどうなっていたのだろうか?
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