阪神、連覇ならず! 岡田監督の「歴史的V逸」を振り返る…ライバル球団に叩きのめされた“負の歴史”

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マジック点灯寸前だった2007年

 2007年も苦闘が続く。エース・井川慶がヤンキースに移籍、安藤優也、福原忍も故障で出遅れ、手薄な先発陣がネックとなり、なかなか勝ち切れない。6月末からようやく投打がかみ合い、同30日から7月31日まで16勝6敗、さらに8月下旬から10連勝して、奇跡の首位浮上をはたす。そして、9月19日の結果次第では、マジック点灯というところまで来た。

 だが、その陰では、同年NPB史上最多の90試合に登板した久保田や史上最多46セーブを記録した藤川ら、平均投球回数が5回にも満たない先発陣をフル回転して支えてきたリリーフ陣の疲労が限界に達していた。

 懸念されたとおり、9月19日に巨人に1対11と大敗すると、8連敗して、3位でシーズン終了。同年から導入されたクライマックスシリーズ(CS)でも、第1ステージ第1戦でリリーフ・久保田が4失点炎上するなど、シーズンの疲れを引きずったまま、2位・中日に連敗で終戦となった。

2008年の岡田監督「引責辞任」のきっかけとなった巨人“メークレジェンドV”

 最後は開幕から首位をキープし、独走を続けながら、シーズン終盤で歴史的大失速に泣いた2008年。

 開幕から5連勝と好スタートの阪神は、6月11日に12球団のトップを切って40勝に到達すると、87試合目の7月22日にマジック46が点灯。この時点では、3年ぶりVも確実視されていた。

 だが、藤川、矢野輝弘、新井貴浩の主力組が北京五輪出場で抜けた8月を9勝11敗と負け越し、ペースダウン。さらに帰国後の新井が腰椎骨折で登録抹消されたことも追い打ちをかけ、10月3日までに7度もマジックが消滅ともたついた。

 10月8日、2位・巨人との直接対決に1対3で敗れ、開幕から守りつづけた首位を陥落するとともに、巨人に逆マジック2が点灯。最大13ゲーム差をひっくり返された。

「まだわからんわけやから」と再逆転に一縷の望みを託した岡田監督だったが、同10日の横浜戦で、3対0から悪夢の逆転負け。巨人の“メークレジェンドV”を許し、岡田監督も引責辞任と、これまでのV逸の中でも、最も悔やまれる幕切れとなった。

 そして、今季も僅差でV逸……。だが、現時点ではシーズン1位になれなかったというだけで、これからCSを勝ち抜き、2年連続日本一になるチャンスもまだ残されている。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

デイリー新潮編集部

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