「私は3歩目からだったが、大谷は1歩目からトップスピード」 世界の盗塁王・福本豊が語る大谷翔平の盗塁のすごさ

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「『最強のDH』でさえ受賞できていない」

 こうした異次元の活躍により、最優秀選手の栄誉はいっそう近づいた。エンゼルス時代に2度MVPに輝いている大谷は、ナ・リーグ移籍1年目にして史上初のDHでのMVPという快挙を成し遂げようとしている。『データ・ボール』の著書があるスポーツライターの広尾晃氏が言う。

「MVPの選考では、WARという指標が重視されます。これは打撃・走塁・守備・投球を総合的に評価して選手の貢献度を数値化したもので、データ専門サイト『FanGraphs』が算出する『fWAR』と、同じく『Baseball‐Reference』の『rWAR』という二つがあり、シーズン後の記者による投票の目安となります」

 今季DHに専念している大谷の数値は、fWARが9.0、rWARが9.2と、対抗馬とされたメッツのフランシスコ・リンドーアを抑えてリーグトップである。

「とりわけfWARでは守備のウエイトが大きいとされ、大谷には不利となるのですが、それでもリンドーアを上回るとは、今季の活躍のすさまじさが分かります。1979年に、65試合DHで出場したドン・ベイラーという選手がMVPを獲得しており、これがDH出場の最も多い選手による受賞です。主にレッドソックスで活躍し、『最強のDH』といわれたデビッド・オルティーズでさえ、受賞できていないのです」(同)

 その分、栄誉の重みも増すわけだ。

 後編【「投げろと言われれば厭わない姿勢」 大谷がプレーオフで登板する可能性は? 「監督が保身のために起用する可能性も」】では、大谷がポストシーズンで登板する可能性について報じている。

週刊新潮 2024年10月3日号掲載

特集「大谷翔平『プレーオフ登板』を巡ってチーム内に不協和音」より

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