2パターンあった「ウイスキーが、お好きでしょ」 名CMソングに杉真理が込めた思い

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 デビュー後に急性髄膜炎を患い、活動休止中にソングライターとしての才能を開花させた杉真理(70)。さまざまな曲を作る中で、多くの人が知る「ウイスキーが、お好きでしょ」は生まれた。名曲の制作秘話や、音楽業界での縁について語る。

(全2回の第2回)

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須藤薫との想い出

「ナイアガラ・トライアングルVol.2」で組んだ大瀧詠一をはじめ、杉の周りには縁が転がってきた。関係がないと思っていた人物でも、後になってすごいつながりだったと分かったこともあったという。

 たとえば1977年のデビュー時にサポートバンドのドラムだった青山純は、小学校時代の大親友の3学年下の弟だった。青山の母が、「真理」を「まさみち」と読む息子の同級生がいたことに気付いて判明したという。T-SQUAREのサクソフォニスト・伊東たけしが福岡の高校の同級生だったことも、デビュー後に知った。高2の時にはクラスも同じだったそうだ。

 1999年にミニアルバム「ロマンティック天国」などをリリースした須藤薫とのデュオには今もファンが多い。須藤に多くの楽曲を提供した杉とは、ともに松任谷正隆プロデュースという縁もあった。2013年に58歳で早世した折には、杉とのデュオ復活が叶わないことを悲しむファンは数多いた。

「実はあの人、普段は天然で面白いんです。それが歌に入り込むと尋常ではない。(2000年発売のシングル「君の物語」に収録された)『I WISH』は、1番を彼女、2番を僕が歌うんですが、歌い始めるとステージの逆光もあって、天使が舞い降りてくるような感覚になり、聴いてて泣けてくるんです。2番を歌わなきゃいけないのに。何かが憑依する感じのある特別な人でした。隠れファンも多くて、3年前に仙台のラジオで共演した声優の山寺宏一さんが『僕、薫さんのファンだったんです』と話してくれました。このデュオに関しては、僕も薫ちゃんも仕事という感じではなくて、趣味でやっているような感じだった。ソロでもそうですけど、趣味だからこそ手を抜けない。全力で遊んでいた。それが今もファンを惹きつけているのかもしれません」

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