「女性客からも『推し』『尊い』と言われ…」 ストリップ「素人チーム」リーダーの矜持

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独身でひとり暮らし

 せいかさんはその後もショーパブでポールダンスをしたり、スナックなどで働いて、40歳のときに福島県郡山市にあった「郡山ミュージック劇場」で踊り子デビュー。そこは、プロの踊り子が出る舞台ではなく、触れ合いもある「素人大会」だった。

 そして、こちらも閉館してしまったが、横浜市中区の「黄金劇場」で2011年、46歳のときにプロの踊り子「麻奈せいか」となって板の上で舞った。福岡県の「A級小倉劇場」、岐阜県の「まさご座」、広島市の「広島第一劇場」(現在は営業終了)など、名だたるストリップ劇場をまわった。

 ルールを守らなかったり、大酔っ払いのお客には、「極道の妻たち」の岩下志麻のように啖呵を切ることもあった。「当時は大阪に住んでいたから、こっちに来るときはいつも飛行機で、帰る前によくルノアールに寄ってハムトーストを食べました。懐かしいな」。

 黄金劇場にも「みかん組」という素人大会があって、ピンク色がテーマの「桃色組」といったライバルチームとともに人気を博した。この頃、栗橋に誕生した「ふーたーガールズ」が、現在、せいかさんがリーダーを務める「ハニトラ」につながっていく。

「ハニトラは今から8年前、栗橋のオーナーから頼まれて作りました。実はそのとき、オーナーは閉館を考えていました。それが存続できるようになったから、ハニトラは誕生したんです。逆転のスタートと言うか、そんなはじまりだったんです。それが3周年を迎え4、5年と続いて、こうなったら10周年を目指せるかというとき、この夏に突然の閉館となってしまいました」

「ハニートラップ」と名付けたのはせいかさんで、テレビのニュースでたまたま耳に飛び込んできた音とフレーズから直感で決めたという。そのハニトラは現在、メンバーは総勢15人。香盤表から衣装、演目決めから演出まですべて、リーダーのせいかさんが一手にやっている。10日間休みなしの興行は大変に違いないが、「たくさん応援してもらえるし、お客さんも喜ばすことができたときは最高ですよ」と言う。

 今回のシアター上野での「ハニトラ」再出発はどのような気持ちで迎えたのか。

「最初は不安だったのですけど、路頭に迷いそうになっていたところを救ってもらい、大感謝ですよ。常連さんからは『次いつやるの』と終わったばかりなのに、聞いてもらったりして、嬉しい悲鳴をあげています。堂々と入れるのが今のストリップ劇場です。時代も変わり今は女性のお客様も増え『推し』とか『尊い』と、こんなオバさんに言ってもらえて、嬉しいやら恥ずかしいやら複雑ですが気分いいですよね(笑)。そして何と言ってもハニトラは、おっさん達に支えられて成り立っていると言っても過言ではないでしょう(笑)」

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