「毎日2万歩」「朝食はやよい軒でお代わり」 86歳!「こまどり姉妹」妹・葉子さんが語る「健康長寿は1日にしてならず」

ドクター新潮 国内 社会

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 今年でデビュー65周年を迎えた双子の演歌デュオ「こまどり姉妹」の妹・葉子さん(本名=長内敏子)は、86歳にして「毎日2万歩近く」歩き、さらに食欲も旺盛とあって、周囲からは「なぜ?」と驚嘆の声が上がっている。「人生100年時代」に突入し、多くの人が健康長寿を願うなか、その“実践者”である彼女に健康のカラクリを聞いた。

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「いまは毎朝4時に起きて、両親の墓参りも兼ね、自宅のある都内・浅草周辺を時間をかけてウォーキングしています。途中、朝食を食べるために『やよい軒』に立ち寄り、目玉焼き定食に納豆をトッピングして、ご飯をお代わりするのが最近の日課。しばらく前から1日2食の生活を続けていますが、夕飯は近所のお店でラーメンとチャーハン、餃子の3点を注文して平らげることもあります」

 こうハッキリとした口調で話すのは、いまも現役でステージに立つ「こまどり姉妹」の妹・葉子さんだ。浅草から上野あたりまでなら「いつも歩いて移動している」という葉子さんは、80歳を超えても「食べる楽しみ」を満喫できることがこの上なく幸せだと話す。

「歩くときは歩数計を携帯して毎日、歩数を正確に計測しています。午前中で6000や7000歩にとどまっていれば、午後は多めに歩くようにするなど、できる限り2万歩を目指すようにしています。夏の暑い日には“1000歩あるいたらコンビニに入る”とのルールを決め、冬なら使い捨てカイロを体に貼り付け、1年を通して歩くことで風邪を引きにくくなるなど、体調面にも良い影響が出ています」(葉子さん)

 葉子さんが「1日2万歩」を習慣としたのは「50代の時」というが、キッカケとなったのは、30代で「末期がん」の宣告を受けたことだった――。

「洞窟」で隔離生活

「33歳の時でした。営業の最中に突然、意識を失って倒れ、都内の病院に搬送されました。検査の結果、『悪性の絨毛(じゅうもう)がん』と診断され、すでに両方の肺など7カ所に転移していたため、医師からは『末期だ』と告げられました。それから1年近く、入院生活を送ることになりましたが、ベッドの上で息もできないほど肺が痛んだのをいまでもよく覚えています」(葉子さん)

 ドイツから入ったばかりの新薬を試すなど、治療に手を尽くし、最後は「医師も驚く奇跡の回復」を見せたというが、

「実は死線をさまよったのは、この時が初めてではありません。私と姉の出身地は北海道ですが、父と母が炭鉱で働いていた関係から、私たち姉妹はいわゆる炭鉱住宅で生まれました。私が3歳の時、炭鉱内で脊髄や脚が湾曲する『くる病』が流行し、私ひとりが感染。周囲に感染させてはならないということで、私は炭坑内の洞窟に隔離されることになりました」(葉子さん)

 凍てつく外気にさらされる一方で、葉子さんは42~43度の発熱や体の硬直に悩まされたという。父親が給料の半年分を炭鉱会社から前借りし、抗生物質のペニシリンを調達。週に数度、父からペニシリンを打ってもらい、さらに両親がそろって葉子さんの真っ赤に腫れ上がった足を何時間も揉み続けるなど、献身的な介護の甲斐あって1年後には快方に向かったという。

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