「プレーオフで力を発揮するのは“お調子者”」 元メジャーリーガーたちに聞いた「大谷翔平に求められる役割」

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「地区優勝したからといって……」

 この年、波に乗ったホワイトソックスは88年ぶりの栄冠を手にするのだが、

「ワールドチャンピオンになるまで1敗しかしませんでしたから、やはりチームの“流れ”が大切なのだと思います。地区優勝したからといってその後も勝ち進めるわけではありませんし、逆にワイルドカードで出場して勝ち上がってくるチームは、地区優勝チームより多く戦っているため勢いがある。現に、昨年もドジャースはワイルドカードのダイヤモンドバックスに3連敗しています」(井口氏)

 さらに、こう続けるのだ。

「いかに勝率1位とはいえ、ドジャースは現在、投手を中心にけがが多く、ベストな状態とは言い難い。それでも最終戦まで5連勝し、いい流れでプレーオフに入れました。初回の先頭打者である大谷選手が打線に火をつけ、再び回ってくる前に下位でランナーを出し、2番ベッツ、3番フリーマンというポイントゲッターにつなげる。ここがカギになってくるはずです」(同)

短期決戦で力を発揮する“お調子者”

 続いて07年、レッドソックス時代に日本人大リーガーとして初めてワールドシリーズ登板を果たし、優勝に貢献した岡島秀樹氏(48)に尋ねると、

「ポストシーズン中は、投手陣と野手陣でムードが異なっていました。一球失投しただけで試合の流れが変わる怖さを熟知している投手に比べ、野手の中には華やかな大舞台を好む“お調子者”が多かった印象です。ところが、こうした選手はヒットを一本打つとますます調子を上げてくるため、短期決戦では無類の強さを発揮するのです」

 つまりは、

「投手陣がこの打者を抑えれば、他の強打者とまともに勝負しなくても相手の打線を沈黙させられます。その点では、大谷選手より山本(由伸)投手のほうがキーマンになってくると思います。ドジャースのリリーフ陣は充実しているので、彼が先発で本来の力を発揮すれば継投策で逃げ切れるのではとみています」(同)

 敵の“ムードメーカー”を早めに見抜くことが肝要だというのだ。

 後編【「“周りの奥さんたちに恥をかかせられない”とブティックに」 元カージナルス・田口壮氏の妻が明かす、プレーオフの異様な熱気】では、妻の立場から見たプレーオフの「お祭り騒ぎ」について紹介している。

週刊新潮 2024年10月10日号掲載

特集「大谷翔平&真美子夫人は『悲願のポストシーズン』をどう戦うべきか」より

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