火葬後のお骨が「3億円」に 大阪市では“競売”も
〈火葬後の「灰」売却額3.4倍〉
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9月17日の日経新聞が、そんな記事を載せた。火葬場に残された残骨灰には、故人が歯科治療に使った金やパラジウム、人工骨に使うチタンが含まれている。年間157万人が亡くなるわが国では、その残骨灰の売却に動く自治体が増えており、同紙が調査した全国88都市では、売却額が5年間で64億9000万円に上ったという。
都市別では最も金額が多いのが京都市の3億313万円(2023年度)で、以下、横浜市、名古屋市と続く。それにしても、なぜ京都市がトップなのだろうか。ちなみに、10番目は京都市より人口が2倍の大阪市で、売却額は5507万円である。京都市に聞いた。
「そもそも残骨灰を火葬場に残すのは関西に多い風習だと聞いています。京都でも“部分収骨”といって、火葬した遺骨をすべて骨壺に入れるわけではなく、一部だけを納め、残ったお骨は、火葬場の収蔵施設に保管しておくのです。ところが、京都市の火葬場は京都市中央斎場の1カ所だけ。残骨灰でいっぱいになってくるとお骨の“減容化”をしなくてはならない。そこで、指定の業者に依頼して金、銀、プラチナ、パラジウムを抽出し、粉のようにしてからまた収蔵施設に戻す。そのうえで抽出した貴金属を売却するのです」(医療衛生企画課の担当者)
火葬場から出た貴金属を“競売”に
京都市によると、残骨灰の売却を始めたのは22年度からで、23年度は前年度分の一部も含めて売ったことから量が多くなってしまったのだという。ちなみに大阪市にも聞いてみると、こちらは市内5カ所の火葬場から出た貴金属を競売で売却しており、
「23年度は、“銀”が市の予定価格に届かなかったこともあって、売却することができませんでした。金額が少なかったのは、それもあるかもしれません」(環境局の斎場担当者)
大阪人だから歯にかぶせる貴金属をケチるわけでもないようだ。そこで、京都市に戻って、とある歯科医院(中京区)に聞いてみる。
「歯科治療に使う“かぶせもの”の材料は、患者さんの歯の状態によって違います。でも、材料として何が良いかというとやっぱり金。私自身もうちのスタッフも使っていますから」