春季キャンプに垣間見えた「阿部巨人」V奪還の兆候 「和やかムード」の理由は“名物コーチ”が消えたから

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 見事4年ぶりにセ・リーグを制覇した巨人。就任1年目でチームをまとめ上げた阿部慎之助監督の手腕には称賛の声が上がっている。シーズン開幕前、2月の春季キャンプに訪れた野球評論家やスポーツ紙記者は、チームのムードが昨年とはガラッと変わり、「和やかムード」だったことを指摘していた。当時の記事を再録し、V奪還の背景を探ってみよう。(「週刊新潮」2024年2月22日号記事の再掲載です。文中の年齢、役職、年代表記等は当時のものです)

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 春季キャンプ真っ盛りのプロ野球。中でも注目度が高いのは、今季から監督に就任した阿部慎之助氏(44)が率いる新生巨人の様子だ。チームの内情を探ると、心機一転のかいあってムードは上々のようである。特に“あの人”がいなくなったことが大きいのだとか。

 巨人の春季キャンプは2月1日から宮崎県宮崎市で始まった。15日以降は沖縄県那覇市に移動して、28日まで開催される。

 現地を訪れた野球評論家の江本孟紀氏によれば、

「昨年の春季キャンプと比べて雰囲気が大きく変わりました。今年は阿部新監督が良き兄貴分としてチームを引っ張っており、和やかな雰囲気が感じられます。とはいえ、甘いわけではなく、厳しいところは容赦なくいく。全体的にいい感じだと思います」

後輩を丸坊主にさせたことも

 阿部監督といえば巨人の2軍監督を務めていた2020年、率いるチームが早稲田大学野球部に負けた際、選手全員に罰走を命じたことがパワハラ的な指導だと批判を浴びた。他にも、選手にしばしば懲罰ノックや居残り特訓を課していたとのことだ。

 現役時代には巨人の後輩である小林誠司捕手(34)の態度が気に入らず、丸坊主にさせたこともあったほどだが、改心したのか。

「阿部さんは平成の時代に活躍した選手ですが、まるで昭和のスポ根漫画の登場人物のような感性と考え方を持っています。一言で言えば根性論者ですね。しかし、2軍監督時代にパワハラ的な指導が大きく取り沙汰され、球団から“コンプライアンスを遵守しなさい”と、きつくおきゅうを据えられてしまったのです」(スポーツ紙記者)

 その後、阿部監督本人も渋々ながら“時代に合った指導法を見いだしていく”と周囲に語るようになり、

「現在は選手への当たりが厳しくならないための、本音をグッと抑える感情のコントロールがうまくできるようになりました」(同)

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