「人妻の不倫」小説にワクワクしたことも 石破茂新総理が明かした意外な「お気に入りの本・映画」

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三島由紀夫を読み直したい

――いかにも、というか硬い本ばかりですね。

 いやいやそんなことはないですよ。いい機会だから久しぶりに三島由紀夫を読み直そうとしていて、これは楽しみなんですよ。『豊饒の海』4部作、『午後の曳航』『女神』『美徳のよろめき』……『豊饒の海』は結構しんどいけれど、『美徳のよろめき』あたりはワクワクしますね。

――入学式や授業が遅れている若者、たとえば大学生にお薦めしたい本などはありますか?

 うーん、どうでしょう。自分自身、法学部の学生だったので、法律書とかばかり読んでいたから……でも先ほど言った三島はよく読んでいました。

 あとは井上靖、川端康成、五木寛之……五木さんは全部読んでいましたね。

 井上靖ならば『天平の甍』もいいけれど『氷壁』『欅の木』あたりが面白いのではないでしょうか。

 川端康成は『古都』『みずうみ』が好きでしたね。

 五木寛之さんはとにかく圧倒的に面白かった。『蒼ざめた馬を見よ』も良かったし、特に好きだったのは『天使の墓場』という作品。核兵器を積んだB52が墜落して……という小説ですね。

「哀愁」のヴィヴィアン・リーは息をのむほど美しい

 時間があるのなら、古い映画を見てみるのもいいかもしれません。今はネットで何でも見られるでしょう。「カサブランカ」とか「哀愁」なんていいですね。「哀愁」のヴィヴィアン・リーは息をのむほど美しいとはこのことか、と思いますよ。

 現在の状況と重ね合わせて「感染列島」「復活の日」なんて邦画を見るのもいいでしょう。「感染列島」を見ると血が凍る思いです。

――そういう感じで「巣ごもり」を楽しめばいいということでしょうか。

 うん、ただ「巣ごもり」の弊害も確実にあるのだから何とかしなければ、と思っています。私たち政治家は、目の前に仕事があるからいい。でも、ご高齢のご夫婦や単身者で、外に出られないといった方のことはもっと真面目に考えなければならないと思います。緊急事態宣言が出されて「外出は控えてください」「あれはやめてください」といったメッセージばかりが強調される。それに真面目な人ほど耳を傾けて、家にこもる。

 本当は緊急事態というのは、自治体ごとに判断すればいいというだけで、その時に、人との接点が断たれてしまうと「自分の存在って何だろう」と不安に思うようになる。誰とも会話しないで、特にやることもないと、そういう不安に直面してしまうでしょう。その方たちについてもっと思いを馳せなければと思うのです。やることがある人はまだいい、なくなった人の心は心配です。

「じゃあお前に何ができる」と言われても、すぐに実行できる妙案があるわけではありません。もしも身内にそういう方がいれば、電話をしたり、手紙を書いたりしていただきたい、と言うことくらいしか今はできません。しかし、こういう方たちに何ができるか、ということもこの間の宿題として考えたいと思っています。

 ***

 当分、ゆっくり本を読んだり映画を見たりする時間はないだろうが、弱っている人に「思いを馳せる」姿勢は貫いて欲しいと感じる国民は多いのではないか。

デイリー新潮編集部

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