「皆がメーガンを恐れている」“いじめ疑惑”が米国でも勃発 メディアを戦場に変える“証言バトル”の行方は

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「皆がメーガンを恐れている」

 ヘンリー王子とメーガン妃が英国王室を離脱し、米カリフォルニア州郊外に豪邸を構えてから早4年。配信番組や慈善事業に絡んだ“公務”などで露出はあまり減らず、近ごろは王室時代さながらの「海外訪問」も始めた。もちろん、こうした活動は夫妻の力だけで実現しているのではなく、秘書的な役割を果たすスタッフたちの存在あってこそだ。

 何かと話題が尽きない一方、夫妻のもとで働くスタッフの離職率が異様に高いという件も以前から注目されていた。最新の辞職者は8月にたった3カ月で去った幹部スタッフのジョシュ・ケトラー氏。これで総数は少なくとも18人、ここ3年間では10人といわれている。

 そこでこの件に切り込んだのは米誌「The Hollywood Reporter」。9月12日、メーガン妃を「ハイヒールを履いた独裁者」と称する証言とともに“ハラスメント疑惑”を報じたのである。「皆がメーガンを恐れている」「人を見下して助言を聞き入れない」「怒り狂って命令を怒鳴り散らす」といった匿名証言はかなりのインパクトだが、どこかで聞いた覚えのある王室ファンは多かっただろう。

 メーガン妃の疑惑とスタッフの離職率の高さは今に始まったことではない。英紙「The Times」は2021年3月、王室時代のメーガン妃がスタッフ2人を辞職に追い込み、さらに別のスタッフを執拗に攻撃していたことを明らかにした。

エリザベス女王が費用を負担した調査

「The Times」の記事は、元王室補佐官のジェイソン・クナウフ氏が2018年当時、この件を苦情として上役に報告したメールを“証拠”としていた。タブロイド紙が“犠牲者”は他にもいると報じる一方、クナウフ氏の報告を受けたサイモン・ケース氏が報道当時に内閣官房長だったことから政権にも飛び火してしまう。

 王室はこの記事の翌日、早々に内部調査の実施を公表した。メーガン妃の疑惑に加え、クナウフ氏の苦情がもみ消された経緯は“職場”としてマズいという判断だったとされる。エリザベス女王が費用を負担したこの調査は、翌年6月に完了が明らかにされたものの、結果は非公開となった。

「The Times」の報道は、ヘンリー王子とメーガン妃のインタビュー番組が米国で放送される数日前だった。事実誤認の発言が混じっていたものの、メーガン妃が涙ながらに語った「王室内の人種差別的発言」などに世界が驚愕した番組だ。放送前から物議を醸し、王室の調査開始宣言はこの番組に対する“けん制”ではないかとする見方もあった。

 調査結果は非公開でも「エリザベス女王が動いた」こと自体がある種の“落としどころ”だったという見方もある。対して、「ハイヒールを履いた独裁者」の件は米メディアの報道であり、当然ながらチャールズ国王が動く必要は皆無。訴訟に発展しない限り、告発する側とされる側の主戦場はメディアとなるのが必然である。

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