「Z世代はもう古い、次はα世代だ!」…大人が若者に「ナントカ世代」とレッテルを貼りたがるのはナゼなのか

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ゆとりだから

 ここ数年、各種メディア、そして広告・マーケティング業界から持て囃されてきた「Z世代」という呼称。1990年代中盤~2000年代生まれの彼らは、デジタルネイティブで、柔軟な発想を発揮し、個性をもって生きるキラキラした世代だ、といった扱いを受けてきた。しかし、この流行もそろそろ終わりが近づいているようで、「次は2010年代序盤から2020年代に生まれたα(アルファ)世代だ!」といった意見もちらほら出てきている。

 それにしても、この「〇〇世代」というレッテル貼り、不要ではないでしょうか。その時代や年代に生まれたからといって、全員が同質な人間なわけでもない。これまでも「団塊世代」「しらけ世代」「新人類」「氷河期世代」「ゆとり世代」「さとり世代」「ミレニアル世代」などと言われてきたが、これらはその時々のマーケッターや社会学者、評論家が自身の考えと分析を基に発表しただけのものに過ぎない。

 私は2007年から、ゆとり世代(1987年~2004年生まれ)の学生を、自身の会社でバイトとして雇っていた。彼に話を聞くと、「上の世代からも下の世代からもゆとりだからバカなんでしょ~と言われて腹が立つ」、といつも怒っていた。彼自身は非常に優秀だったことを間近で見ていたこともあり、「〇〇世代の特徴は××」などと十把一からげにする世間の風潮には違和感があった。特に、メディアが取材する世代論や社会学、人材関連の専門家の紋切り型の物言いには疑問しか抱かなくなった。たとえば、私が所属する氷河期世代の場合はこうなる。

今年の新入社員は……

〈第二次ベビーブーム世代にあたり、学生時代から競争が激しい世代。就職する時期は採用が抑えられ、非正規雇用になる人が増加。正社員になれずスキルや専門分野がないまま40代を迎え、売り手市場だった年下の世代から使われる立場に。結婚もできず「子供部屋おじさん」になる人も多い〉

 そのうえで、2019年の京アニ放火事件の青葉真司被告(46)や、元農水事務次官長男殺害事件の被害者(事件当時44 ※生きていれば50歳)が取り沙汰される。二人とも引きこもりに近い生活を送っていた。

「新人類」はバブル期頃の若者だが、会社に入ってから上司が「こいつらは何を考えているのだか分からない」と困惑する様がメディアで多数取り上げられたもの。だが、新人が何を考えているか分からない、発想が自分とは異なる、なんてことは結局、毎度の事である。

 レッテル貼りといえば、もうひとつ日本人が大好きなものがある。「今年の新入社員は〇〇タイプ」という、産労総合研究所による発表だ。2024年は「自分の未来は自分で築く!『セレクト上手な新NISAタイプ』」、2023年は「可能性は∞(無限大)AIチャットボットタイプ」、2022年は「新感覚の二刀流タイプ」、2021年は「仲間が恋しい ソロキャンプタイプ」、2020年は「結果が出せる?! 厚底シューズタイプ」となっている。

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