「ハリス勝利」でも米国は“格下げ”危機なのに…「もしトラ」が引きおこす“デフォルト危機再燃”と“国際経済の悪夢”

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デフォルトを回避できない可能性も

「泣き面に蜂」ではないが、米国が史上初のデフォルト(債務不履行)に陥るリスクも生じている。

 米国では、連邦政府の借金の限度額を法律で定めることになっている。その借金は昨年1月には限度額(31.4兆ドル)に達したが、債務上限の効力を来年1月1日まで停止させる財政責任法(昨年6月に成立)のおかげでデフォルトを回避できた。

 だが、次も危機を回避できる保証はない。連邦議会は2025年度会計年度予算(2024年10月~2025年9月)を成立させることができず、来年までに債務上限の引き上げに関する合意ができる目途も立っていない。トランプ氏が返り咲けば議会運営はますます紛糾するのではないかとの不安も頭をよぎる。

 米国政府がデフォルトを宣言する事態となれば、1971年のニクソン・ショック(ドルの金兌換 〈交換〉停止)と同様、ドルの信認に対する致命的な打撃になる。50年前のように国際金融市場が激しく動揺し、世界経済は極度の不振に陥ってしまう可能性は十分ある。

 このように、トランプ氏の復権がもたらす国際経済・金融面への悪影響は計り知れないのではないだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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