「石破総理」と「高市総理」では大違いだった? 新総裁で「住宅ローン」はどうなる
石破新総裁は「元銀行マン」
では、石破新総裁の政権下では、金利はどのような道筋を描くのだろか。
市場は新総裁の誕生に既に大きな反応を見せている。1回目の投票で高市氏の優勢が伝えられると、「低金利政策」への期待から、ドル円相場は一気に円安に振れ、一時1ドル146円を大きく上回った。ところが、新総裁が石破氏に決まると、一転、今度は急激な円高が進み、一時1ドル143円を下回る水準となった。
為替の影響もあり、日経平均先物は2000円以上値下がりし、サーキットブレーカーまで発動。“逆ご祝儀相場”と揶揄される事態となった。ストレートに受け取るなら、市場は石破新総裁を「利上げ派」と見做し、警戒していることになる。
「石破さんは元銀行員で、金融政策の正常化に前向きと言われています。安倍政権下の異次元緩和に距離を取っていたこともあり、高市氏とは対照的です。そのため、高市期待で進んだ円安が一気に剥落することになったのでしょう」(同)
ただ、石破氏が強硬な利上げ政策を主張しているというわけでもないようだ。
「住宅ローンに関しては、むしろ金利上昇に対する“緊急対策”を講じると表明していますから、住宅ローンを抱える家庭への影響は意識されているのだと思います。緊急対策の具体的な内容は明かされていませんが、現在0.7%の住宅ローン減税政策を以前の1.0%に再調整することなどが考えられます」(同)
利上げ=悪ではない
石破新総裁の誕生により、いよいよ金利の先高観が色濃くなってきたと言えそうだ。これから住宅ローンを組む人は「固定金利」も視野に入れた方がいいのだろうか。
「変動金利と固定金利の金利差は約1.4%。この金利差が0.7%まで縮まると、金利変動リスクに対する“保険”の割安感が生まれ、固定金利の魅力が高まります。米FRBの利下げの影響で長期金利が下がることも考えられ、それに連動して固定金利も一時的に1.5%程度まで下がる可能性がありますが、中長期的には政策金利と歩調を合わせると考えるのが一般的。政策金利が1%まで上がる頃には、固定金利も2.0~2.5%ほどになっていると予想します」(塩澤氏)
つまり、変動と固定の金利差が0.7%まで縮まることは考えにくく、変動有利の状況は変わらない、というのが塩澤氏の見立てというわけだ。
「私の予想が外れて、仮に変動金利が1.5%や2.0%まで上がったとしても、返済期間中ずっと高止まりしたままと考えるのは極端な発想です。日本の経済状況が悪くなれば、今度はまた利下げの時代がやってくるでしょう」(同)
また、利上げ自体についても、過剰に反応する必要はないと説く。
「利上げが実施されるということは、日本経済の景気が回復していることを意味するわけです。賃金も上がっていることでしょう。インフレの負の局面だけ見るのではなく、NISAなどで長期積立投資を実践することで、インフレを味方につけるのも有効な対策です」(同)