運動会で「安倍元総理暗殺」の寸劇… 中国のあきれた反日教育の実態 「日本兵に見立てたわら人形に銃剣を刺す訓練も」

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「過度な憎しみを子供たちに残してしまう」

 日中間の経済的な結び付きが強まった胡錦濤政権下では、行き過ぎた反日教育を見直そうという動きもあったが、習近平政権下では再び強化される傾向にあるという。いったいなぜか。

 現代中国の社会問題に詳しい東京大学大学院総合文化研究科教授の阿古智子氏は、こう指摘する。

「今、不動産バブルの崩壊や失業者の増加など、中国は経済的に非常に行き詰まっている状況ですから多くの人が不満を抱えています。その矛先が習政権、中国共産党へと向かうことを恐れて、日本へ不満が向かうよう『反日教育』が強化された可能性はあります」

 中国共産党は先の大戦で日本と戦って国を守った。だからこそ政権を担う正当性があるという話につなげたいとの思惑が、見え隠れするというのである。

「共産党の功績を大きく見せるため、戦時下の日本の残虐行為をクローズアップする。そうした教育を行えば過度な憎しみを子供たちに残してしまうでしょう」

 そう話す阿古氏は、初対面の中国人少女に詰問されたことがあったそうだ。

「小学生くらいの娘さんから、“日本人って、これまで日本がやってきたことを分かっているの?”と言われて本当に驚きました。歴史教育というのは難しくて、例えば731部隊については論争が続いています。そうした事実を中国は客観的に伝えず、多感な子供たちに人体実験などトラウマになりかねない話として教えてしまう。そうなると、子供たちは自分たちが攻撃や被害を受けたように感じて、日本人はとんでもないと思い込んでしまいます」

「日本への憎しみ、社会的な不安定さが深刻」

 かような「反日教育」は、これまでにないほどの勢いで日本に牙を向けている。

「過去を振り返れば、靖国神社や尖閣の問題で05年や10年前後に大規模な反日デモが起こり、日系スーパーや日本車が襲われましたが、今回は日本人学校の児童という一番弱い立場にいる子供たちが標的になってしまいました。中国における日本への憎しみの度合い、社会的な不安定さの度合いが、非常に深刻なところまできている懸念があります」(同)

 そろそろ日本も、厄介な隣人との付き合い方を考える必要がありそうだ。

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週刊新潮 2024年10月3日号掲載

特集「中国・深セン 『日本人男児』惨殺の暗部」より

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