「銀座のクラブに1人でやって来ることも」 石破新首相の大人な横顔と独自のライフスタイル

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カネやポストが欲しけりゃ

「水月会とはどのような集団なのか、端的に示すエピソードがあります。
 第二次安倍政権で内閣改造が行われたあと、何人かのメンバーが記者から、『水月会にいるとポストがもらえないんじゃないですか』という些(いささ)か意地悪な質問をぶつけられたことがあったそうです。すると、口々にみんな、こう返したそうです。
『カネやポストが欲しけりゃ、水月会なんかには居ないよ』
 私はこれを聞いたときに、とてもうれしく思ったものです」

 こうしたスタンスからは趣味・嗜好にどこか通じる青臭さが感じられる。このあたりが彼の国民人気に一役買った面はあるだろう。が、それでグループが一致団結し続けられるほど政治の世界は甘くない。その後、石破氏が総裁選で敗北を重ねる中で派閥から距離を置くメンバーがポツポツと出始める。

 時の宰相である安倍晋三氏は選挙に連戦連勝し、長期政権を築いていた。安倍氏とは政治信条など様々な点で壁のある石破氏のもとにいてはポストを望めない。総裁選で4度目の敗北となった2020年9月、石破氏は会長を辞任。21年には派閥の存続を断念し、派閥から議員グループに衣替えを選択した。

ふんどしを締め直す

「党内に基盤がほぼなくなり、今回は推薦人集めにさえ苦労していました。が、派閥が解消されたことと、“今回の挑戦で最後、本人はとにかく本気だ”ということで、石破氏から気持ちが離れつつあったかつての同志たちは、ふんどしを締め直すような気持ちで総裁選に関わるようになったと聞きました。それでも石破氏の勝利を予想した人は身内ですらかなり少数派だったのではないでしょうか」

 と、政治部デスク。もっとも、今回の勝利がこれまでの「カネやポストを配らない」といった理想主義的なスタンスの産物と見る向きは少ないようだ。

「石破氏が最終的に勝利した要因を挙げればキリがないですが、まあ一言で言えば運が良かった、タイミングが味方をしたということになるでしょうか。これまではさておき、今回は事前にポスト配分の話は当然出ていたでしょうし、結局は派閥の力学によって転がり込んできた勝利ですからね」(同)

 5度目の挑戦で勝者となった石破氏は、首相となったことで変貌するのか。それとも自身のスタイルを貫けるのか。

デイリー新潮編集部

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