中年の危機に直面した46歳夫、救いは「月イチの秘め事」 妻にも優しくなれたと言うものの…

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月に1度の逢瀬

 そんな関係は、彼女が東京に戻ってきた今年になっても続いている。月に1度か、せいぜい2度くらいしか会えないが、会えば濃厚な時間を過ごす。情熱がなくなったら終わりだからと彼女に言われているそうだが、彼にとってそれは「支配」ではないのだという。

「紘子さんに支配されている感じはないんです。むしろいい距離感を示してもらっている。会ったときに自分のすべてをぶつけることができるようになって、僕は精神的に安定しました。妻にも優しくなれている気がします」

 妻との関係の根本的な解決にはなっていないことに、もちろん彼は気づいている。だがミドルエイジクライシスは抜け出せたようだ。

「去年あたりから仕事にも前向きになれた。いろいろチャレンジしたくて新たな企画なども会議に提出しています。うちの部長も、なんとなく目をかけてくれているのがわかる。紘子さんは『仕事で調子に乗れるときは乗っちゃいなさい』って」

「不倫がいけないなんて、誰にも言われたくない」

 人生、突っ走ったことがないんですよねと彼は言った。今、そのチャンスが来ているのかもしれない。何かに夢中になって、その余波で他のことにも夢中になって、すべてがうまく回っていく。そんな時期が自分にも巡ってきたのかもしれない、と。

「とりあえず、今は突っ走ってみたい。その結果、夫婦関係がどうなるのか、紘子さんとの関係がどうなるのかはわからない。でも紘子さんと関係をもったことが僕の希望となったのは事実。不倫がいけないなんて、誰にも言われたくない。僕は彼女との関係に救われたんですから」

 勇作さんは、最後はきっぱりとそう言いきった。秘め事が秘め事で終わりますように。そうひっそりと祈るしかなかった。

 ***

 勇作さんが救いを求めた先は正しいのだろうか――【前編】では、美重子さんに疑惑をもつきっかけとなった、誕生会での“事件”を紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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