中年の危機に直面した46歳夫、救いは「月イチの秘め事」 妻にも優しくなれたと言うものの…

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妻に「ごめん」

 翌日は土曜日だった。土日にゆっくり休むと、混沌とした気持ちが少しだけ緩んだような気がした。妻が浮気しているかもしれないという疑惑も、過去を妻に知られていた気恥ずかしさも、やる気が出ない状態も、何もかも自分が受け止めて飲み込んでいくしかないのだろうと思えた。

「日曜の夜に、妻に『いろいろごめん』と言ったんです。すると妻は『私の気持ちは高校時代から変わらないよ』って。それもちょっと気持ち悪かったんですけど、純粋にオレを愛してくれていると判断することにしました。同時に、そうだ、それが原因だとも思った。美重子と僕の関係性ってずっと変わらないんですよ。彼女がいつも僕を待つ、僕に寄り添う。それでいて、結局、ものごとは彼女の思うように進んでいく。僕からするとそれが母親の支配につながるんだけど、母親ほど強烈な支配感がないだけに、美重子のほうがどこか気持ち悪さがつきまとう」

 ただ、それがわかっただけでも彼は少しだけすっきりしたという。

特別な思いをもっていると気づいて

 週明け、紘子さんに会うと、彼女は「よっ」と手を挙げて通り過ぎていった。そのさばさばした感じが本当にうれしかったと彼は言う。

「それからときどき、紘子先輩と飲みに行くようになりました。でもその1年後、彼女は転勤してしまった。会いに行くほどの関係でもないしと思っていたら、たまたま仕事で僕も彼女のいる営業所に出張することになったんです」

 久々に会った彼女は変わりなかったが、彼はやけに心臓がバクバクした。自分が紘子さんに特別な思いをもっていることを認識してしまったのだ。

「その数ヶ月後、また出張したんですが、彼女と飲んでいるとき、とうとう告白しました。『好きなんです』と。彼女は笑って『子どもみたいなこと言わないでよ』って。フラれたのかと思ったら、『続きはうちで飲む?』と言いだして。その日、とうとう彼女と男女の関係になりました。彼女は『あなたは結婚してるし、私もパートナーがいるのよ。だから曖昧な関係でいようね』って。もちろん僕も離婚するつもりはなかったけど、最初から距離を決められたことが不満だったから、そう正直に言ったんです。すると『いくつになってもあなたは純だよね。そこがいいところなんだけど』って。大人はもうちょっと清濁併せのむものよと言い含められました」

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