中年の危機に直面した46歳夫、救いは「月イチの秘め事」 妻にも優しくなれたと言うものの…

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【前後編の後編/前編を読む】夫婦の64%がレス…「だから妻は他の男に走った」 自宅に届いた“サプライズ”が壊した46歳夫の幸福

 北沢勇作さん(45歳・仮名=以下同)は、初恋の相手だった美重子さんと、長い交際の末に結婚。2人の娘を授かり、一見、幸せそうな家庭を築いた。だが、夫婦の夜の関係は途絶え、勇作さんは外で一夜限りの関係を繰り返すように。そして勇作さんと美重子さんの40歳を祝う家族でのパーティーの最中、妻宛の“サプライズプレゼント”が届いたことで、妻も不貞を働いていた疑惑が浮上。問い詰める夫に、美重子さんは「あなたと違って浮気なんてしていない」とほほ笑むのだった。

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 ふとしたことで、人生の色合いががらりと変わることがある。勇作さんもそうだった。ごく普通の生活を営み、家庭は妻に任せて、好きなように生きてきたのに、なぜか突然、何もかも嫌になったと彼は振り返る。

「最低限の理性は働いていましたから、仕事だけはちゃんとやりました。それでも以前ほど情熱がもてず、上司の信頼も失いつつあった。家庭でも妻とはほとんど口を利かなくなった。子どもたちは何が起こっているのかわからず、戸惑ったと思います。自分の人生が嫌になってしまったんですよ。母親の支配から抜け出したと思ったら、今度は妻に支配されるのか。やっぱり結婚しなければよかったと何度も思った」

 納得して結婚したはずだった。それなのに「こんな生活はやっぱり望んでいなかった」と彼は混乱していった。そのあたりの混沌とした心理について、彼はいまだにうまく整理がつかないと少し恥ずかしそうに言った。

「今で言うミドルエイジクライシスだったのかもしれません。まだ40歳、もう40歳で揺れていた。辞書を見ていたら、40歳で初老って書いてあったんですよ。昔はそうだったんでしょう。はたから見たら、僕の人生なんて波乱に満ちてもいないし、ごく平凡でごく普通。それが幸せだと思えばよかったのに思えなかった。大恋愛もせず、高校時代からのつきあいで地元の女性と結婚して、なんだかちまちましていて……。それがとてつもなくつまらないことだと思ってしまったんですよね」

先輩の紘子さんからの誘い

 現状に満足できないなら、上を目指して努力するという手もあるが、彼はそういった「やる気」を失っていったのだろう。自分の過去に自信ももてなかった。自己否定のみならず、周りの人間まで否定しかかっていた。まさにミドルエイジクライシスである。

「会社ではそんな不安定な自分を必死で隠していましたが、ある日、別の部署の部長が『飲みに行かない?』と誘ってくれたんです。彼女は僕の指導社員だった紘子さんという先輩で、バリバリ働いてさらっと昇進した人。久々にふたりで飲みました」

 最近、調子悪いんじゃないのと言われるかと思っていたが、紘子さんはそんなことは言わなかった。今の季節は、ぶりがうまいよねーと言いながらガシガシ食べていた。

「先輩は変わらないですねと思わず言うと、『うん? あなたは変わったの?』って。人生に疲れていますとあっけなく白状してしまいました。そういうことあるよねと紘子さんは言うだけ。そこから先は僕の愚痴祭りになってしまいました」

 グダグダに酔った彼を、彼女はバーに連れていき、さらに愚痴を聞いてくれた。吐き出すことの重要さを彼は初めて知った。

「彼女はあまり飲んでいなかったと思う。それでも酔ったふりをしてくれたのか、『もうちょっと人生、気楽にいこうぜ』と僕の肩を叩いて……。タクシーに押し込まれて、気づいたら家の前でした。運転手さんから『お金は預かってますから』と逆におつりをもらって帰宅した。そこだけは記憶があります」

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