「ドラ1候補」関西大・金丸夢斗が“来年の戦力図”を左右か ソフトバンクのスカウト部長が「すぐにでも連れて帰りたい」と絶賛する理由

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 関西大学・金丸夢斗。最速154キロ、今年3月には「侍ジャパン」のトップチームに選出され、欧州代表相手の第2戦に先発、2回を無安打無四球、4奪三振という衝撃のデビューを飾った。【喜瀬雅則/スポーツライター】

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高く評価される「球種の多さ」

 関西学生リーグでも、昨年秋の立命大3回戦以来、今秋のリーグ戦開幕前の時点で「57回連続自責0」という、驚異的な数字を積み上げてきた。こうしたトピックスや記録を列挙しただけでも、この左腕の凄さは分かる。

 プロのスカウト陣も『プロで通用するのか、しないのか』という評価の段階をすでに越えてしまっているのだろう。投げるたびに、もはや驚嘆の声しか出てこないようだ。

「もう、言うことがない。すぐに連れて帰りたいくらいです。抜群。ホント、めちゃくちゃいいピッチャーです」

 ソフトバンク・永井智浩スカウト部長が、その絶賛のコメントとともに、高く評価しているポイントとして「球種の多さ」を挙げた。

 ストレート、カーブ、チェンジアップ、スライダー、スプリット。

 そのすべての球種で、ストライクが取れる。110キロ前後のカーブ、120キロ台のチェンジアップ、130キロ台のスライダー、スプリットと、球速の“幅”も広いゆえに、緩急の効いた投球ができるのだ。

各球団間の「指名戦略」にも影響を与える金丸の存在

 昨秋のドラフト会議で、ソフトバンクは1位入札で国学院大の左腕・武内夏暉を指名、交渉権獲得の抽選に外れている。西武に入団した武内は、9月10日の時点でチームのリーグ最下位が決まるという低迷が続いている中で、9勝6敗、防御率2.29(同24日時点)はパ・リーグ2位。5月度のパ・投手部門の月間MVPに輝き、新人王の最有力候補として名前が挙がる活躍ぶりを続けている。

 永井部長は、大学時代の武内と比較しても「球種が豊富だし、コントロールは金丸君の方がいいくらいかもしれない」と証言する。今春の関西学生リーグでも6試合、39イニングで四死球はわずかに「3」。1年秋から今年春終了時までの通算39試合でも、224回2/3で39四死球、その四死球率は「1.56」だから、精密機械とも呼べる制球力だ。

 今年のドラフト戦線は、野手なら金丸と同じく侍ジャパンに選出された明大の遊撃手・宗山塁、青山学院大の外野手・西川史礁、投手でも愛知工業大の最速159キロ右腕・中村優斗ら、大学生に即戦力候補が多いと見られており、その“ジャパン組”を中心に「大学生にまず『行くか、行かないか』です」と永井部長は、ドラフト指名の基本線を示してくれた。

 ここから、各球団の“事情”が絡んでくる。競合して抽選に外れた際の「外れ1位候補」や、ウエーバー順になる2巡目以降で、評価している選手がどれだけ残っている算段がつくのか。そうした各球団間の駆け引きと指名戦略が大いに絡んでくる。

 そうした各球団の“来年の戦力図”を左右する存在の一人が金丸なのだ。

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