完全に誤解していました…パラ金・小田凱人の「カッコ良すぎるオレ!」発言には狙いがあった

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批判も普通にされるようになりたい

 小田凱人は、そして彼の脳内が綴られたこの本は、若さというものに対する「踏み絵」といえよう。

 冒頭の私のように、彼を見て「もうちょっとこうすればいいのに……」と思った人は、若者から煙たがられる側の人間。

「うわ、かっけー」「自分もああなりたい、ああでいたい」と思うなら、実年齢とは関係なく、若者側の人間。

 若者に煮え湯を飲まされている、若者が理解できない、若者と接する機会が少ない、若者がとにかく苦手という、全ての“非若者”にとって、この本は、最もわかりやすい今どきの彼らの取扱説明書となるのではないだろうか。

 単なる幼稚や生意気ではなく、彼らには彼らの理があって、ああした言動になる。読み進めるうち、その理屈が紐解かれ、今までどうしてもわからなかった、彼らが言うところの「みんなちがって、みんないい」思考のブラックボックスを覗いた気分に。苦手だけれども、若者を理解促進し、会話しなければならない時、この本は必ず役に立つ……はず。

「障害者スポーツマンは、批判に晒されにくい」と、自らの境界を客観視する小田選手。もし自分が試合中激高してラケットを折る無礼を働いても、健常者テニス界の選手ほど非難されないだろうと述べていた。健常者・障害者分け隔てなく、同じ目を向けられてこそ、真の平等が訪れる、とも。だから自分はもっとどんどん強くなって、注目せずにいられない存在となり、批判も普通にされるようになりたいと。それこそが本当に社会に認められた勲章なのだと決意を記していた。

次のコメントにも期待したいところ

 読み終えた今、お言葉に従い、非若者側からひとつだけ小田選手に言わせてもらうと。紋切型のコメントを言いたくないのはわかったが、だったらもうちょい言葉のセンスを磨いて欲しい。人の心をいまいち動かしてないという意味においては、「カッコ良すぎるオレ!」 的これまでのフレーズは、紋切型と実質あんまり変わらない印象だ。若者も非若者も痺れる、小田選手にしか言えない名言が、いつでも口をついて出るように、何を聞かれても、とっさに人を唸らせるスマートな返しができるように、スピーチ力、コメント力を、もうちょい勉強すべきなのではないだろうかと。加えて、要所要所で人の目に小粋に映る振る舞いも。望めばすぐに広告代理店がマネジメントしてくれよう。

 キャリアゴールデンスラム達成時は、コメント面でも更なる進化を遂げられているだろうか。新たなる小田選手に会えるのを楽しみに、全米オープンを待ちたい。

今井舞(いまい・まい)
東京生まれ。小学校から大学まで、バカばっかりのエスカレーター式女子校にて、観察眼を鍛えながら過ごす。大学在学中にライター業を開始。美容を中心に、ファッション、インタビューなど、何でも屋として活動中に、タレント格付け本『女性タレントミシュラン』(情報センター出版局)を出版。裏バイトで始めたつもりのテレビ批評がいつの間にか生業となり、現在に至る。

デイリー新潮編集部

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