完全に誤解していました…パラ金・小田凱人の「カッコ良すぎるオレ!」発言には狙いがあった
車椅子ラグビーの対オーストラリア戦、ボッチャ団体の対ブラジル戦、ゴールボールの決勝戦等と並んで、パラリンピック史に残る熱戦となった、車椅子テニス男子シングルスの決勝戦。相手のマッチポイントまで追い詰められてからの、見事な逆転劇。固唾を飲んで見ていた人々は、小田凱人選手の金メダルに沸いた。そして優勝後、彼がインタビューで何を語るのかを楽しみにしていた。
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「カッコ良すぎるオレ!」
……思っていたのと違うその開口一番に、吉本新喜劇よろしく日本中が壮大にコケた、あの土曜の深夜を我々は忘れない。
新星に感じてしまっていた「惜しさ」
思えば、金メダルを決めた瞬間も、そうだった。車輪を外して寝ころび歓喜。感極まっているのはわかるが、やはり試合相手と握手してからでないと、礼を欠いていると見られても仕方がない。実際、いつまでも起き上がって来ない小田選手のところに、敗れたヒューウィット選手の方からしずしず近づき握手を求めた光景に、「ん?」と引っかかった人も多かったのではなかろうか。
車椅子テニス界のレジェンドとして、長く小田の前に君臨していた国枝慎吾選手が、あまりに完璧であったが故に、その後継者たる小田選手に、無意識下で過剰な期待を抱いていた部分もある。しかし、18歳という年齢を差し引いても、その言動がかなり幼く映るのは否めない。
だが。若さに加えて、その端正な顔立ち、よく変わりそれぞれ似合っているヘアスタイル、センスの良いファッション、杖を使い立った時のスラリとした佇まい、そして何よりプレーヤーとしての実力……。彼の全てが、新星の条件を満たしていることも、また間違いない。
だからこそ、だからこそ。寝ころぶのは相手と握手してから、その後のインタビューでは、対戦相手へのリスペクト、周囲や観客への感謝、憧れていた国枝選手と同じ光景を見た感動などを盛り込んでいれば、彼のプロスポーツマンとしての格、注目度、人気、生涯年収、全てがもっともっとうなぎのぼりだっただろうに。惜しい。実に惜しい(by広告代理店一同)。
……となったところで、パラ直前に上梓された小田選手の著書「凱旋 9歳で癌になった僕が17歳で世界一になるまでの話」(ぴあ)を手に取った。するとなるほど、あの言動の全ての理屈と所以が理解できた。
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