「斎藤知事は本気で再選を見据えている」…「失職」を選んだ理由 会見でアピールした「公約99%達成」のウソ

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改革の成果ではない

「28日は土曜日で29日は日曜日。会見を行うには県職員を使わねばなりませんから、土日に会見を開くと、またパワハラだの言われかねない。27日の金曜日がギリギリの日程でした。ところが、その日は自民党総裁選があるから、斎藤知事が会見を開いても注目されることはない。そこで前日の26日の木曜日、それも午後3時からと、ワイドショーでも取り上げやすい時間帯を選んだのです」

 事実、26日の失職会見でも、冒頭のセリフの後は自己アピールだった。

斎藤知事:まず自らの給与・退職金をそれぞれカットいたしまして、批判の大きかった公用車センチュリーのリースを大幅に見直させていただいた……。

「給与3割減、退職金5割減は、たしかに実績に数えていいと思います。公用車のセンチュリーをアルファードに変更したのも、コストカットになっています。ただし、この車に乗って県内の施設に出張した際、エントランスの20メートルほど手前で車を降りて歩かされたことに激怒していたわけです」

 他にも、県立大学の無償化、県の貯金が30年ぶりに100億円を超えたことなども改革の成果として挙げていた。

「地元紙も報じていますが、県立大の無償化については、昨年春に県内の高校を卒業した人のうち県立大に進学したのは757人で、わずか1・8%です。受益者があまりに限定的と議会でも批判されていました。また、県の財政調整基金が130億円になったことは事実ですが、それは企業の業績が好調で税収が増えたから。斎藤知事の行政改革で成し得たものではないと担当部長も認めています」

 そもそも斎藤知事は7月30日の会見で、こう自慢していた。

98・8%!

斎藤知事:選挙時に掲げさせていただいた公約が全体で173項目ございます。そのうち一定達成、着手した状況は171項目、98・8%という形になります。多くの公約や掲げたことは達成なり着手してきて、一つずつ公約は進捗、進んでいると考えています。

 公約の98・8%を達成したというのだ。

「知事は達成・着手した公約が171項目と言っていますが、手をつけただけの公約も少なくないようです。しかも、これらの公約は、以前は知事の公式サイトに掲載されていたのですが、今は削除されているのですから確認のしようがない。しかし、それを確認した機関がありました」

 一般社団法人セーファーインターネット協会が設立したインターネット上の誤情報・偽情報の対策を行なう日本ファクトチェックセンターである。同センターがインターネットアーカイブを用いて斎藤知事の公約を確認すると、その数は斎藤知事が発言した173項目はなく137項目だった。137項目しかない公約のうち、どうやったら171項目も着手できるのだろう。

「そもそも3年前の知事選の際、彼は6項目しか公約を掲げていませんでした。それがあまりにも公約数が多くなったので、斎藤知事もわからなくなったんじゃないですかね。一説には、知事選の対抗馬だった前副知事の金沢和夫候補の公約をパクったなんて声もあるほど。それで98・8%なんてよく言えたものだと思います」

 斎藤知事は失職を発表した26日、自身のXにこうポストした。

《本日、失職を選択し、/出直すことを決めました。/県政の現状、私の責任です。/改めて、心からお詫びします。/でも、やはり改革を止めたくない。/組織もなく、自分一人からの挑戦になります。厳しい道のりですが、しっかり歩んでいきたいです。》

 これに“いいね”が15万件もついている(28日現在)。斎藤知事を応援する声も少なくない。知事選の対抗馬が乱立すれば、知名度のある斎藤知事が有利なんて声も出始めている。

「この1週間の猛アピールが効いているようです。しかし、10月3日には百条委員会の理事会が開催され、次の委員会での証人について話し合われるそうです。11月に行われる知事選までに、新たな疑惑が出てくるかもしれません」

デイリー新潮編集部

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