「鉄オタ総理」誕生へ 「石破茂」新総裁が熱く語っていた「寝台特急」愛

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「ななつ星」が町を活性化させた

 しかし、豪華列車の持つ潜在力はそんなものではない、と石破氏は指摘する。

 こうした豪華寝台列車のブームの先駆けとなったJR九州の「ななつ星in九州」。この「ななつ星」に、石破氏はテレビ番組の企画でJR九州会長の唐池恒二氏、同列車のデザイナーの水戸岡鋭治氏と一緒に乗る機会があったという。石破氏が新著『日本列島創生論』で、その時の経験を熱く語っている部分を抜粋して、ご紹介してみよう。

「残念ながら、テレビ取材の一環で数時間のみでしたが、乗車中は鉄道ファンとして至福の時間を過ごせました。その乗車中、3人で焼酎を飲みながら、あれこれ話したものですが、その時、唐池さんが、しみじみと仰っていた言葉が非常に印象的でした。

『石破さん、日本語が通じて、日本の習慣が通じる素晴らしいところがいっぱいあるのに、なぜそれをみんな売りにしないんでしょうね』

 本当にその通りだと思います。

 JR九州のリゾートトレインは、水戸岡さんの方針もあって、がんばっている土地にしか列車を止めないようにしているそうです。

 がんばって町おこしをしている、がんばって特産品を売ろうとしている、がんばって人を呼ぼうとしている、そういうところに列車を止めるというのです。

 決まりきった観光地以外にも、素晴らしい土地はいくらでもあります。その中で、前向きに努力しているまちに『ななつ星』が止まる。そのおかげ、観光が活性化する。実際にそういうことが起きているのです。

 日本人を取り込むには、『アジアや欧米、アフリカもいいけれど、気楽に行けるところ、身近なところでこんなにいいところが日本にはありますよ』ということをもっとアピールしなければなりません。

 そして、別に大げさなことを言わなくても、本当に素晴らしいところは多くあるのです。ただ、それを私たち日本人が知らないだけです。

 たとえば西日本の人間は、東北、北陸のことを知らない。逆に東日本の人は今でも島根と鳥取の区別がつかない、というのがふつうでしょう。

 そういう人たちにこれまでよく知らなかった地方の魅力を伝える時に、有機的に機能することを期待されているのが、鉄道やバスといった交通事業ではないかと思います。

『ななつ星』はその模範生のような存在です」

 そもそも豪華寝台列車に乗るような客の多くは、普通の観光地には大抵行った経験があるような人ばかりだろう。それだけに、有名な場所ではないところに立ち寄るほうが、新鮮で喜ばれる可能性は十分あるのではないだろうか。

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 晴れて総裁となり、そして念願の総理の座へと上り詰める石破氏。今後、ますます夜行列車から遠ざかることになりそうだが、その点が唯一、本人にとって悩ましいところだろうか。

デイリー新潮編集部

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