「打ち損ないでもレフトスタンドに」 大谷翔平のバッティングはどこが変わったのか? データから徹底分析

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「走者有利になったとはいえ……」

 9月19日(日本時間20日)、ドジャースの大谷翔平(30)が、前人未到の「50本塁打&50盗塁(50-50)」を飛び越え、「51-51」に到達。移籍1年目でMVPも視野に入った躍進はなぜ可能になったのか――。大谷に肉体づくりについて相談されたこともある専門家の見解を交え、データと肉体の両面から活躍の裏側に迫る。【前後編の前編】

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 今季の大谷は、開幕から40打席連続本塁打なしと自己ワーストを更新。「分身」であった元通訳・水原一平が引き起こした事件の“後遺症”が危ぶまれたのだが、それも杞憂に終わった。

 何しろ、前半戦を終えた時点でリーグトップの29本塁打をマーク。その後も好調を維持し、現地時間8月23日にはメジャー史上6人目の「40本塁打40盗塁」を達成。さらに9月19日、前人未到の「50本塁打&50盗塁(50-50)」を飛び越え、「51-51」に到達したのだ。

「9月11日、本拠地でのカブス戦では初回に47号を放ち、エンゼルス時代の2021年に記録した46本塁打を上回り、自己最多となりました。盗塁については、昨季のルール改正で一~三塁の各辺が3インチずつ大きくなり、さらに『ピッチクロック』の導入で投手は事実上、けん制が1打席2回しかできなくなるなど走者有利となりました。が、それらを差し引いても自己ベストだった3年前の26盗塁を大きく上回る、56個(27日現在)という数字は特筆に値します」(メジャー担当記者)

昨季とのスイングの違い

 メジャーリーグ研究家の友成那智氏が言う。

「大谷自身の活躍もさることながら、今季の成績はドジャースの総合力、つまり居並ぶスター選手をはじめ、打撃コーチや走塁コーチらがいかに優れているかを物語っています」

 エンゼルスから移籍したことで、環境面でも大いに恵まれたシーズンとなっているというのだ。

「今季は、背筋をピンと伸ばして打つフォームが特徴的です。足のつま先ではなくかかとに重心を置き、かかとごと体を回転させる。そうすることで体重の前移動が抑えられました。スイングも昨季に比べて、幾分アッパー気味に振り上げている。打席に入る時も、バットで距離を測りながらボックスの後方で構える姿が目につきます」(同)

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