今年度でPTA会員がゼロに…解散を決めた「岡山県PTA連合会」会長が苦悩を明かす 会費は4倍に値上げ、重過ぎる人的負担に批判も
退会が相次いだ理由
退会が相次いだ理由には、どのようなものがあったのだろう。
「各団体によりそれぞれですが、まず、会費に見合ったメリットが感じられないということですね。それと、研修や大会などへの人的動員の負担が大きいということ。研修のために遠くの地域に行く時間や労力も大変で、それよりは市町村のことに力を入れたいという声は根強くありました」
「人的負担」について、県のPTAには以下のような役割が課せられている。県内外における「研修会」開催の他に、イベントとして「県大会」、中国地方の「ブロック大会」、そして「全国大会」の開催や協力……。実際、岡山県PのHPを見ると、今年度だけでも、「スマホ等ネット利用に関する保護者や子どものための研修会」(9~11月)、「広報紙研修会」(7月)、「『令和6年能登半島地震』支援募金」、「日本PTA中国ブロック研究大会」(11月)などの活動が予定、ないし実施されている。人的負担のみならず、金銭的負担ものしかかるイベント開催は、加入団体が減り、人員も会費も目減りしていく中、会員団体や「県P」自身にとって、どれほど大きな負担だっただろう。
一方、「会費に見合うメリットが感じられない」という点については、各市町村のPTAはどのような活動を望んでいたのだろうか。「県P」では、PTA会員ひとりあたり130円の年会費を、傘下の市町村Pから徴収していたという。
「これだという一つの答えがあるわけではないのですが、必要な時に必要な情報が得られ、他団体と交流することで、運営や取り組みの参考にしたいという声が多く寄せられていました。役員研修会のような義務的な縛りの進行ではなく、他団体と自由に相談したり、交流したりできる時間を作ってほしいと。県の運営の仕方や会議が一方通行で、情報を伝えるだけだという批判がありました」
つまり、研修会のような「縦」で一方向の情報発信ではなく、他団体との交流など、「横」で双方向の繋がりを望んでいたというわけだ。
神田さんはこうした市町村からの声を受け、会議の時間配分を変え、交流が行えるような配慮に努めたものの、退会の「歯止め」とはならなかったと振り返る。
「研修会ひとつとっても、参加してよかったという声もあれば、逆の声もあるので、どちらの意見も聞いた時に、簡単に、会を止めることも縮小することもできませんでした。会員団体からの要望に、『県P』として、素早く対応していけなかったことは事実です」
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