総裁選の「決選投票」は“民意”を反映できるか キングメーカーが暗躍し、派閥の論理がモノを言えば「何も変わらない自民党」が露呈
9月12日に告示された自民党総裁選は過去最多の9人が立候補し、激しい舌戦が繰り広げられてきた。いよいよ今日27日に投開票が行われるが、全国紙など大手メディアは決選投票が行われることを確実視している。そして、ここで一つの疑問が浮かぶ。果たして決選投票によって党員の“民意”を反映した自民党総裁、さらに言えば総理大臣が誕生するのだろうか──?
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例えば読売新聞オンラインは9月25日、「自民総裁選迫る投開票…石破・高市・小泉氏競り合い、上位2人による決選投票の見通し」との記事を配信した。
読売新聞の情勢調査によると、9人のうち石破茂(67)、高市早苗(63)、小泉進次郎(43)の3氏が激しく競り合っているという。調査結果の通りに投票が行われた場合、3氏のうち1氏が1回目の投票で脱落し、残り2氏による決選投票が行われる可能性が高い。
1回目の投票は国会議員票368票と、同数の党友票の合計736票で争われる。党員は約105万人いるため、その投票結果を368票に割り振るわけだ。
開票の結果、どの候補者も過半数に達しない場合は決選投票となる。この決選投票、国会議員票の368票は変わらないが、党員票が一気に減少してしまう。
47都道府県の党員票を調べ、決選投票に残った2人のうち、得票の多かった1人に1票を与える。こうして国会議員票の368票に都道府県票の47票が加わり、合計415票で決選投票は争われる。担当記者が言う。
決選投票で無視される民意
「党員票の割合が著しく減少するので、決選投票の鍵を握るのは国会議員票です。しかも国会議員は決選投票の2人が誰か分かった上で新たに票を投じます。一方、党員は決選投票で投票することはできません。あくまでも1回目の投票結果で都道府県票は決まるのです。以前から『決選投票の国会議員票は派閥の指示や、ポストの見返りなど私利私欲で動くことが多く、せっかく党員が示した“民意”とかけ離れた結果になることが多い』との批判も根強かった。しかも自民党は裏金事件のダメージが大きいため、今回の総裁選ではいつも以上に懸念の声が出ています」
今回の総裁選は民意に従うべきと考える自民党の関係者もいるようだ。例えば時事通信は9月12日、「自民総裁選、派閥なき乱戦へ火ぶた 衆院選へ『顔』選び先行―信頼回復不透明」との記事を配信した。
記事によると自民党の内部からも「衆院選を睨み、1回目の投票で示される党員の“民意”に従わざるを得ない」という意見が出ているという。たとえ決選投票を行うにしても、1回目の投票で党員票を最も獲得した候補者に投票しなければ、国民の反発を買うというわけだ。
東京新聞(電子版)も同じ12日に「自民党総裁選の勝敗を決めるのは? 候補乱立で増す党員票の重み 『民意に背いたら…』国会議員もハラハラ」との記事を配信。記事によると東海地方の自民県議は「今回ばかりは、党員票で1位の人を文句なしに当選させてほしい」と訴えたという。
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