神宮外苑だけじゃない神戸市でも「樹木伐採」問題…「市立公園」の一部を関学に売却、市民側は行政訴訟を提起
神戸には他の空き地があるのに
もう1つの柱で最大のポイントは「公益性」だ。都市計画法で都市計画区域から当該地を外す際の条件である「公益上の特別の必要」(16条1号)に「関学の誘致」が該当するのか。原告らは「公園の面積を減らして大学を誘致することは都市公園法の定める『公益上特別の必要がある場合』には該当しない」と主張する。
市の大利泰文都市計画課長は今年2月5日、市議会の都市計画審議会で「16条に基づく規定と、今回の都市計画公園は別物」と説明していた。また、工藤課長は「大学には公益性があると考える。関学に限らず、地域の人に一般開放したり、大学とともに地域の課題を解決したりしている例がある」と主張する。
とはいえ、神戸市が大学を誘致したいのなら、ポートアイランドや六甲アイランドなど、他にも広大な空き地がある。この指摘については、「王子公園は古くから教育施設や文化施設の場として位置付けられ、文教エリアのポテンシャルがある」と述べた。
手放すとしても市との協議は必須
仮に、採算上の問題など何らかの理由で関学が手放すとなった時、キャンパスは都市公園の位置づけに戻るのか。マンション業界などは喉から手が出るほど欲しい土地である。工藤課長は「万が一、関学さんが手放すとしても市と協議することが協定書に明記されており、マンション業者に売り払うようなことはさせません」と答えた。
また「関学との出来レース」との指摘については「出来レースと思うのはご勝手ですが、公募をしたわけですから」と返答した。訴状には〈周辺住民や神戸市民を無視して策定された、被告と関西学院大学との「出来レース」というべきものである〉と記されいるが、針原弁護士は「マスコミ的には面白いかもしれませんが、裁判ではそこは争点にはしません」と話す。
裁判の争点はあくまでも「大学誘致と公益性」。9月17日の時点で市側は訴状を受け取っているという。
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