神宮外苑だけじゃない神戸市でも「樹木伐採」問題…「市立公園」の一部を関学に売却、市民側は行政訴訟を提起

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関西でも市街地の公園が消えている

 樹木の伐採を伴う神宮外苑(東京都)の再開発はかなり大きく報じられたが、関西でも市街地の公園がいくつか消滅していることをご存じだろうか。

 兵庫県尼崎市では阪神電鉄大物駅近くの小田南公園が阪神タイガースの2軍球場建設でなくなり、樹木を大量に伐採。また、大阪城公園でも構造物のために伐採された。関西で反対運動が盛り上がらない理由は、対象の場所が分散していることもあるだろう。

 市民団体「王子公園・市民ミーティング」実行委員会(小林るみ子代表、以下、実行委員会)の5人は8月末、市立王子公園(神戸市灘区)が大幅に潰されるとして行政訴訟を起こした。神戸市は王子公園の一部を関西学院大学(関学)に売却するため、今年5月に対象地(3.5ヘクタール)を「都市公園法区域」から外す変更を行った。同区域では校舎や図書館建設などの開発ができないためだ。

 原告側は「区域を変更できるのは、公益上特別の必要がある場合と定めた都市公園法に違反する」などと訴え、変更を「違法」として取り消しを求めている。

「発祥の地」に戻りたい関学

 久元喜造市長は2021年1月29日の市長定例会見で、大学誘致を含む王子公園の再整備を発表した。誘致する大学は「公募」とされたが、関学以外の応募がなかったため昨年12月に市と関学が協定を締結。王子公園の一部が約100億円で売却されることになった。

 摩耶山の麓の斜面に広がる19.4ヘクタールの王子公園は、陸上競技場や動物園、プール、テニスコート、体育館などが整う憩いの場として機能している。売却されるのは、公園で最も鉄道駅(阪急・王子公園駅とJR・灘駅)に近い陸上競技場がある一角だ。

 関学の本部は西宮市だが、発祥は王子公園周辺の「原田の森キャンパス」。昨年8月、実行委員会が再考を申し入れた際、同大学の広報担当者は「他の大学にあの魅力ある土地を取られる前に何とかしたかった」と打ち明けたという。

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